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02




南方司令部に所属する彼女は、普段通り仕事をしていたところ、部屋の中に突然ハートのような不思議な形をした扉が現れたのだと言う。
一体何なんだこれは、と愛用の剣を片手に警戒しながらも扉に近付き、開けようと手を伸ばした。
すると扉が勝手に開き、その向こうから伸びてきた手に腕をとられた。
強い力で引かれたかと思えば、扉を通り抜け、そこは見知らぬ地。
腕を引いたらしい人影は見当たらない。
かわりに、何故か球体の機械に囲まれていた。

「あれがこの世界の厄介者なのね。アクマだったっけ?」

「そ。エクソシストが破壊すべき相手なんだって」

軍部トップクラスの剣士でもある彼女は、殺気を感じてすぐに戦闘体勢をとった。
しかし攻撃を仕掛けても、愛剣による斬撃は全く効いている様子が無い。
それどころか、自慢の紅い刃は真っ二つに折れてしまった。

「そこに都合良く登場したのがアレンだったってわけか」

「都合良くって何ですか」

隣で物凄い量の料理をたいらげたばかりの少年に目を向けた。
まったく、何度見ても見慣れない光景だ。
あれだけの量が、このけして大柄でない少年のどこに入るんだか。

…ああ、話が逸れてしまった。
つまりイルミナのピンチに現れたアレンがそこにいたアクマを破壊し、現状を把握出来ていない彼女を教団に連れてきたのだ。
とりあえずほぼ同じ境遇であるクライサに会わせるために。

「で?アクマやらの説明のために適合者待ちのイノセンスを見せてみたら、なんでかイルミナさんに反応しちゃって適合者だと判明しちゃった上にエクソシストになる事になったって?何だその怒涛の展開」

「クライサ、台詞がすごく説明的ですよ」

「あら、クラちゃんは私がここにいちゃ嫌?私は結構楽しんでるんだけど」

「え、正直めっさ楽しいっす。強引な展開万歳」

「(いいんだ…)」

最後の一口を食べ終え、フォークを皿の上に置いた。
夕食終わり。
食後のお茶を飲んでいると、廊下から顔を覗かせたラビに名を呼ばれて振り返る。

「クラとイルミナさん、コムイが呼んでたさ」

イルミナのイノセンスの武器加工が終わったのだろう。
何故クライサも呼ばれているのかはわからないが、行ってみればわかる事だ。
食器を片し、アレンに挨拶をして、暇だからついていくと言ったラビと共に司令室へ向かった。






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