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04




このような会は久しぶりで、少し疲れてしまったから、と一旦部屋に戻る事をアレン達に伝え、自室へ向かうべく静かな廊下を歩く。
先程まで賑やかな場所にいたせいか、しんとしたそこに何となく寂しさを感じた。

「歓迎会は楽しかったか?」

足を止めた。
自室に繋がる扉の前に、ラビがいた。

「それなりに楽しんできたよ」

「そっか」

ニコリと笑った彼に頷いて、歩みを再開する。
ドアを開けて入室を果たすと、ラビもまた部屋の中に入ってきた。

「アレンが思い付いたらしい」

「何が」

「歓迎会」

「そ」

椅子に掛けていたカーディガンを羽織る。
出ていけと命じられなかった事に気を良くしたらしい、上機嫌そうに笑みを浮かべたまま、ラビがベッドに腰掛けた。

あの会が、元気の無かった自分を励ますために開かれたものだという事は、とっくにわかっていた。
科学班の息抜きも兼ねてだとしたのは、彼らに気を遣わせてしまったと、自分に思わせないためだろう。

元気の無い、または調子の悪い相手を励ますのは、友人として素晴らしい事だと思うし、有り難いとも思う。
大体、アレンやリナリーはそういった相手を放っておく事は出来ないだろうから、今回の歓迎会もある意味開かれて当然だったのかもしれない。

(けど、)

「こういう時に触れられるのって、結構キツイよなぁ」

「そうだね」

そうする事で元気づけられる者もいれば、そうでない者もいるのだ。
落ち着くまで、傷に触れないで欲しい。
ただ、そっとしておいて欲しい……という者も。

「だから、ラビは来ないでくれたんだね」

「そーゆー事」

「ありがと」

あの会が疎ましかったわけではない。
アレン達の気持ちが伝わらなかったわけでもない(実際、有り難いとは思ったのだし)。
ただ自分が、ひねくれているだけなのだ。

「アレンやリナリー達は何も悪くない。あたしが我儘だっただけ」

触れないで欲しいなら、そう見せなければ良かったのだ。
なのに、自分にはそれが出来なかった。
自分の気持ちを整理しきれず、結局彼らに心配をかけてしまった。

どこか遠くを見ながら言うクライサを、ラビは視界に留めなかった。
少女の周囲をゴーレムが飛ぶ。
それに目を向けた彼女は、微かに微笑んだ。






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あきゅろす。
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