03
集まっていたのは、コムイ、リーバーをはじめとする科学班の面々、ブックマンやミランダ、クロウリーら数人のエクソシスト。
強引に連れて来られたらしい、神田の姿も見られる。
だがそこに、ラビはいなかった。
「寝不足だから寝かせてくれって、ラビ」
「そっか」
わかった、と頷きつつも、絶対嘘だと確信している自分がいる。
一体彼の何を知ってると言うんだか。
コムイ達に呼ばれてそちらに歩みを進めると、まずは入団祝いの言葉を贈られた。
そのまま科学班の面々と談笑し、クロウリーやミランダの祝いに礼を返す。
ジェリーが作ってくれたらしい食事は、やはりどれも美味しかった。
「クライサちゃん」
いつもの言い合いを繰り広げているアレンと神田を遠目に眺めていると、コムイに声をかけられた。
振り返ると同時に目の前を飛ぶ、黒い物体。
「……ゴーレム?」
丸っこい体に黒い羽根を持ったそれが、蝙蝠のようにクライサの周りを飛び回る。
コムイを見上げると、彼はニコリと笑っていた。
「クライサちゃん専用の無線ゴーレムだよ。本当はもっと早く渡してあげたかったんだけど、なかなか時間が作れなくて」
「あたし専用の?」
正直、驚いた。
いくら教団のメンバーになったとはいえ、自分は異世界の人間だから。
自分のための無線ゴーレムを用意してもらえるとは思わなかった。
アレンのティムキャンピーよりは幾分小さめの、リナリーや神田の所持するものと同じくらいの大きさの、無駄に元気に飛び回っているそれに、不思議と心が穏やかになったような気がした。
「クライサ!ちゃんと食べてますか!?」
「Σわあっ!!」
すぐ後ろで大声を上げられて、飛び上がりそうになってしまった。
振り返れば、そこにいたのは予想通りアレン。
両手に持った皿の上には溢れんばかりの料理が載っている。
「ダメですよ、ちゃんと楽しまなきゃ。クライサのための会なんですからね!」
「大丈夫、楽しんでるよ。料理も食べてるから」
アレン程じゃないけど、と付け足すと彼は笑った(頬にトマトソースをつけたまま。こういうところを見ると、彼もまだ子供なのだと微笑ましくなる)。
見渡せば、誰も彼もが笑っている(神田は例外として)。
その様子が、彼らの笑顔が、
(ああもう、どうして)
司令部の仲間達と、重なった。
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