02 「歓迎会?」 ドアのノブに手をかけながら、クライサは返した。 目の前でニコニコと笑みを浮かべているのはアレンとリナリー、おまけにティムキャンピー。 「クライサが入団してから何だかんだで忙しくて、歓迎会してなかったでしょ?」 「え…いいよ、わざわざそんな事しなくて。今更な気もするし」 教団にやって来てからかなりの時間が過ぎた今、わざわざ歓迎会なんて開く必要があるのだろうか? ほとんどの団員に顔や名前は知られているし、教団にもだいぶ慣れてきた。 正直、今更だという気持ちが大きい。 「大丈夫よ、科学班のみんなの息抜きも兼ねてだから」 「……そういう事なら、断る方がコムイ達に悪いか」 そういえば、最近の科学班はやたら忙しそうにしていたな、と思い出す(普段から徹夜続きで死にそうな顔をしているけれど、最近は特に、だ)。 という事は、今回のそれはクライサの入団祝いよりも息抜きの意の方が大きいのだろう。 それに歓迎されるのが嫌だという事では決してないし(わざわざ時間を割かせるのが嫌なだけで)、これ以上断る理由はない。 「それじゃあ食堂に行きましょう!みんな集まってますよ」 「え、今から?」 なんだ、了承しようが断ろうが初めからやるつもりだったんじゃないか。 楽しそうに笑いながら腕を引く二人に、思わず苦笑が漏れた。 「あたしが本気で嫌がったらどうするつもりだったのさ」 「ああ言えば、きっと了承してくれると思ってましたから」 ニコリと、いつもの紳士的な笑顔が向けられる。 ちくしょう、確信犯か。 ほんの少し生まれた悔しさはすぐに消し去って、皆が待つ食堂へと急いだ。 [*前へ][次へ#] |