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03




翌日。
さて任務地に、ホームに向かおう、とそれぞれ準備を済ませて治療院を出たクライサ達四人は、早速目的とは違う方面へ走っていた。
というのも、四人のうち最後にクライサが建物を出た直後に、彼らの頭上、町の上空をアクマの大群が飛び越えていったのだ。

「何なのアイツら、あたし達にも町の人間にも見向きもしないなんて」

「どこかに向かって飛んでる…?こんな大群が、一体どこに」

クライサ達はすぐに町を出、アクマ達の目指す方角へと駆けた。
先頭が見えなくなってもう随分経つのに、未だ頭上を雲のように大群が飛び続けている(なんかこんな感じのイナゴ映画みた事ある、と思い出して一気にテンションが下がった)。
一体どれだけの数になるのか、気が遠くなりそうで数える気にもなれない。
町の外を囲んでいた森を抜け、息が切れてきたところで状況に変化があった。

「クラちゃん!」
「クライサ!」

ぎゃーす!!
突然の出来事に上がった悲鳴もとい叫びを地上に残し、クライサは空を飛んだ。
否、空を飛ぶアクマに連れ去られた。

「やっぱりエクソシストだ!黒いからもしかしてって思ったんだ」
「お前目ぇいいなぁー。でもそれ捕まえんのがオレらの仕事じゃねぇぞ。捨てろよ」
「カタイ事言うなよ。お前、オレがこいつ殺せるからうらやましーんだろ?」
「右半分くれよ」
「ダァーメ!」

なんて会話を聞きながら、イルミナ達が駆けている筈の地上を見下ろす。
だが、どうやらクライサの腕を掴んだアクマは大群の中心近くにいるらしく、下を飛ぶアクマ達に遮られて大地はまばらにしか見えない。

「つーか何故もっと早くこうしない!?」

「Σうげふっ!!?」

とりあえず、捕まえられたアクマの首を、両足で締め上げてみました。

「アンタ達がこうして運んでくれるなら、わざわざあんなに走る必要もなかったのに!出来るならさっさとやんなさいよ!!」

「え、す、すみません」

腕が解放されたのをいい事に、すぐ下を飛んでいたアクマの背に着地して声を張る。
勢いに圧されて謝るしかなかったアクマ達は、クライサの命令通り丁重に空中を進み、暫く経ってから彼女が敵である事を思い出した。

「エ、エクソシストっ!!」

が、すでに少女の姿はそこになく、クライサはアクマの背や頭を足場に前へ前へと飛んでいた。
飛んだ先のアクマが牙を剥けば、すでに解放されていた右腕のイノセンスがそれを凍らせ、氷塊となったその体を踏みつけてまた飛ぶ。
弾丸を撃ち込もうにも少女は素早くちょこまかと動き回るので、狙いをつける事の出来た者は皆無だった。







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