[携帯モード] [URL送信]
02




「ほぉら、やっぱり私がおまえ達を腐らせる方が早い」

クライサがアクマの腕を受け止めている間に、その後方からイルミナが斬りかかる。
しかし緋焔の刃が触れる前にアクマはクライサから離れ、一旦距離をとったかと思えば今度はイルミナの背後に回った。

終わりだよ。
言って、アクマは刃物を象った腕を突き出す。
だが、それはイルミナの背に触れないまま、止まった。

「させないってば」

地面に膝をついたクライサが言う。

「アンタはあたしが凍らせるって言ったでしょ」

彼女の手のひらが触れた地面から、氷がアクマの足元まで伸びていた。
アクマを地面に縫い付けんと生えた氷は、その下半身をとらえた。
身動きがとれない事に焦るアクマの頭上から、振り下ろされる刃。

「そして私は、あなたを焼き尽くすと言ったわね」

頭から真っ二つに斬られたアクマは同時に激しく炎上する。
足元の氷が解けてもその場から動く事も出来ず、やがてその身がボロボロと崩れ始めた。

灰も残らず消え失せて、漸く二人は息を吐く。
思っていたよりも時間がかかってしまったが、これで今回の任務は終了の筈だ。

「「!!」」

だが、緩めた緊張を一瞬で取り戻し、揃って振り返った先にそれはいた。

「ははは、惜しかった。あと少しだったねぇ」

イルミナのイノセンスが焼き尽くした筈のアクマが、そこにいたのだ。

「なんで…!?」

「……まさか」

驚きに目を見開くクライサの隣で、イルミナは灰が散った場所を振り返る。
そこには既に燃やしたものの残骸すらもない。
手応えはあった。
あれが幻影でなく、元々アクマが二つ体を持っていたわけでないなら、他に考えられるのは。

「私が燃やしたのは蟲の塊って事、かしら?」

「その通り。どうだい、私の蟲はスゴいだろう?人間の身体を腐らせるだけでなく、身代わりになって私を守ってくれるんだ」

パチパチと上機嫌に拍手してみせるアクマに向き直り、クライサとイルミナは再度構える。
ニィと笑みを浮かべて、アクマが動いた。

「おや。動きが鈍っているよ、エクソシスト」

「くっ…!」

一向に速さの落ちない──どころか、増している──アクマの攻撃を、辛うじて受け止める。
二人とも、既に疲労がピークに達しようとしているのだ。
目に見えて動きの悪くなったその隙を、アクマは見逃さない。

「ほぉら」

軽快な動きで振るわれた刃を、避け損なったイルミナの腕から血が溢れた。






[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!