06 無事逃げおおせてくれていた探索部隊達と合流し、本部に帰還したのは翌日の夕方になってからの事だった。 ノアに接触した事を、やはりコムイには報告するべきか。 悩みながら歩いていると(いや、黙っていたところで探索部隊経由で知られてしまうだろうけど)、廊下の先から血相を変えた人物が走ってきた。 科学班のジョニーだ。 「クライサ!」 「どしたのジョニー、そんなに慌てて」 クライサの前で足を止めると、身を屈めてゼェハァと荒い息を繰り返している。 そして呼吸が落ち着いてきて漸く、彼は顔を上げた。 「い、今すぐ司令室に向かって!室長が待ってるから!」 「?わかった」 元々、任務終了の報告のため、コムイに会いに行くつもりだったからそれは構わないが。 この慌てようは何なんだ。 そういえば、本部全体が何だか騒がしいような気もするけれど。 ここで頭を悩ませていてもしょうがない。 ジョニーに一言告げてから、強く床を蹴って駆け出した。 「コムイ!」 相変わらず書類が床まで埋め尽くしている司令室。 そこに入ると、真正面にいたコムイがすぐに気付いてクライサちゃん、と名を呼んだ。 彼の正面、クライサに背を向けて長椅子に腰を下ろしていた人物が、こちらに振り返る。 長い銀髪、青い服を身に纏った女性。 碧がかった青の目と視線が合うと、彼女は表情を明るくし、クライサは固まった。 「クラちゃん!」 間違いない。 この声、この呼び方。 「イルミナさん───!?」 【H20/12/05】 [*前へ] |