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02


5年前の記憶を頼りに道を歩いていくがやはり変わっている。大好きなお気に入りの店もどこかよくわからなくなってしまった。でもお腹空いたし酒飲みたいしもうその辺のお店でいいかなぁ、と打算案を考えた時に後ろから声をかけられた。この声はもしやと振り返れば会いたかった懐かしい人がいた。抱きつく前に彼は慣れた手つきで距離を詰め腰に手をまわしてきた。

「そこの美しい青いドレスのシニョーラ。レガーロ島は初めてですか?よければ案内しますよ。」

『…え、デビトなんの真似。私を驚かそう的な?気持ち悪いからやめてよね。』

「…は?(俺の知り合い?いや、こんな美人しらねぇよ。…黒髪、マンマに近いこの感じ。って事はジャッポネの)お前名前…か?」

『…おんなじような事ダンテにも言われたんだけど!皆酷くない?あんた仮にも幼なじみなんだから覚えときなさいよ。』

「うっわ、まじかよ!女は変わるっていうが本当だな。m昔もいい女だったけどすっかりレディじゃねぇか。いいねェ、抱きたいぜ?」

『誉め言葉どうも。ねぇ、お腹空いたんだけどいい店しらない?レガーロ島の色男さん。』

「5年で随分変わったからなァ。いいぜ、案内してやるよ。丁度飯にしようと思ってた所だ。で、なんでスーツじゃねぇんだ?」

貴族に挨拶に行かなきゃいけないと説明しながら歩く途中で近況報告をする。部下を拾ってきた事、何処の国へいったのか。デビトはお嬢様やノヴァが幹部になった事、ルカもパーチェも相変わらずな事を話してくれる。そんな話をしていると丁度店の前で手を振っているパーチェとルカが見えた。2人とも変わらないな。デビトは大人っぽくなった?5年もたつのだから少しは変わるか。

「よォ、待たせたな。」

「ちょっと、デビト彼女は「わぁあ!名前久しぶり!帰ってくるとは聞いてたけど早かったね!美人になっちゃってー。このこのー。」は、名前!!?名前ってあの?」

「そ、あの名前らしいなァ。俺も知らずにナンパしちまったよ。ま、それ程いい女になったって事だからあんま怒るなよ。」

『ルカまでわからなかったわけ?全くあんたはどうせお嬢様のことしか頭にないんでしょ。でもさすがパーチェだね。パーチェもかっこよくなったね。ルカ…、あんた老けないね。なに不死身?』

「そうそう、相変わらずお嬢命だよ。」

「子供っぽいんじゃねぇの?それか錬金術で怪しい薬を作ってるとか。」

「お嬢様命で何が悪いんですか!私は従者ですよ!それに若々しいと言ってください!薬なんて作ってないです!」

こうして4人でいるのも懐かしい。さっそく店に入り酒を頼み乾杯する。昼からの酒は贅沢だね、あんまり飲むとフェイに怒られるし程ほどにしとかないとだな。これから仕事もある訳だし。名前の無事帰還と4人の友情に、サルーテ!!とパーチェが音頭を取りサルーテ!と乾杯する。あー、最高。

『あー、お腹すいた。レガーロ料理ひっさびさー。とりあえずラ・ザーニア!』

「さすが名前!いいチョイス!おじさん!ラ・ザーニア50人前!今日は食っちゃうよー。」

「今日も!の間違いだろうが。ったくパーチェはよォ。どうだったスパイ探索は、なんか成果はあったか?その話はさっきしなかったからな。」

『あったから帰ってきたんでしょ。島ひとつ潰しちゃったけどまぁ、収穫はあったかな?あとデビトには話したけど1人拾ってきたよ。フェイの下でしごかれてる所。』

「フェイはいい腕してますが厳しいですからね。ってかあなた島潰したんですか!?」

「相変わらず強いねー。防御か強い攻撃っていう極端な事しか出来ないから逆に困るって言ってたけどそれでも力がある事はいいことだよ。」

『そうかなぁ。町の人結構覚えてくれてたみたい。さっき声かけられた。あ、そういえばリベルタって子に会った。超可愛いねー。気に入っちゃった。』

「えー、名前の場合年下なら誰でもいいわけ?あ、そういえば名前もアルカナデュエロに参加
するの?」

「なにそれ、って顔してんなァ。まぁ、さっき帰ってきたから無理もねェな。この前アルカナ・ファミリアの集まりがあったわけだ。」

「お嬢様の16歳の誕生日です。そこでパーパがアルカナデュエロの勝者にパーパの座とお嬢様を渡す、と。」

なにそれ聞いてない。なんだかとんでもないこと勃発してんじゃん。楽しそうという私にデビトが呆れた顔をする。バトルだったら私の能力は無敵だからね。でも私が勝ったらお嬢様との結婚はどうするのだろうか、と疑問に思う。帰ったら聞いてみよう。どうせ挨拶に行かなきゃだしなと思っていたら後ろから頭を掴まれた。振り返ればライが凄い顔で立っていた。怖っ!それが上司に対する顔なのかお前、

『痛い、痛いなに!今ご飯ちゅー、晩酌ちゅー!』

「晩酌って夜じゃねえし。見ればわかんだよ!お前貴族に挨拶するからドレス着たんだろうが!こんな所でふらつくな。仕事をしろ。フェイみたいに俺は甘くねぇぞ。」

『ライ、じゃああんた今までなにしてたわけ?ずっといなかったじゃん「シエスタしてた。」働いてないじゃん!』

「俺はいいんだよ、偉くねぇもん。偉いもんが働く、つーことで早く行ってこい。この酒と飯は責任をもって俺が食っとくから。任せてください。若いんだから働け働け。」

「飯食いたいだけだろお前。まぁ、行って来いよ名前。」

「名前ー、帰ってきたらまたラ・ザーニア食べようねー!」

『…私パーチェが一番好きだよ!』

「俺も名前が好き「何言ってんだよ。俺のがいい男だろうが。見る目がなくて困るねェ。」ええー。」

「えぇ!?す、好きってそういう…。名前とパーチェが…、は!お嬢様もいつか誰かと、そしたら私は、あぁっ。」

なんか勘違いしてる奴が変な思考に走ってるけど気にしないでおこう。ライが地図を渡してきて気をつけて、なんていうからこいつは憎めないのだ。だけどなんで私だけが挨拶なんてものにいかなきゃならんのだ。まぁ、スパイとかで場所借りたり色々ギブ&テイクみたいなとこあるから顔は売っとかないとなんだけど。仕方ないと外に出て歩いたはいいが、ここどこ?え、今どこよここ。えっーと、さっきがここ?現在地どこってか地図上下逆さま?いやあってるのかな。

『(確実に迷ったな。この際誰か聞くか)んーと、』

「お困りですかお嬢さん。良ければ案内しますよ。」

『…聖杯の人?あ、ノヴァじゃん。やっぱり聖杯の皆かぁー。なんか見たことあると思った。大きくなっちゃって久しぶりー!』

「…。」

『ん?』

「…名前、なのか?」

『ん、そうだけど。あー、ノヴァと別れた時は10歳だもんね。覚えてないか。あ、でね貴族のお屋敷どっちだっけ?地図貰ったんだけど迷っちゃって。』

「あの、名前様ですか?」

『あのかしらないけど多分ジャッポネっぽい名前ってそうそういないんじゃないかな。』

聖杯の皆がびっくりした顔でこっちをみていた。そんなに変なこと言いましたか?変わりましたね、と誰かがいい大きく頷かれた。なんだか皆そんな反応なんだけどこれって誉められてるんだろうか。多分メイクとかドレスとか雰囲気のせいなんじゃないかと思う。これスーツ姿で館であったらがっかりされるんじゃないかな。



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