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06


私は人生最大のミスを犯した。やってしまった。言ってしまった。馬鹿私。言わないって決めていたのにでも言ってすっきりって言うか、でもバイト行きづらい!勢い余って伝えてしまった。伝えたかっただけだから、なんて言い逃げして。だって返事なんてもらえないし!あああ、まじでどうしよう。

『…お、おはようございます。』

「っ、あ、ああ。」

「名前ちゃん、ちょっと。あ、こらなんで逃げんのさ。いいからこっち来なさい。」

『あ、こら、相馬さん。引っ張らないで下さいよ。なんですかこんな隅に連れてきやがって。』

「なんで喧嘩腰!?ねえ、あの佐藤君の様子だといったんだね名前ちゃん!」

『慰める気で呼んだの?楽しむために呼んだの?私に殴られるために来たの?おい、相馬この野郎。』

「怖いよ名前ちゃん!しかもタメ口なんだけど!でも真面目に仕事とかどうするの?ぎくしゃくしたままやるの?やめるのは君の性格上嫌そうだし。まぁ、一応恋愛禁止だしね。」

『そうですよねぇ。ああ、もう!佐藤さん!』

「!…なんだ、」

『佐藤さんが八千代さんの事好きなのはわかってます。私もそれを承知でいったんですしだから変に気まずくなりたくないんです。伝えたかっただけっていいましたけど、私は佐藤さんの事諦めません。だって好きなのは個人の自由ですもん。だから佐藤さんも頑張ってください。だからいつも通り接してくれればいいんで。…それじゃあ、私在庫整理いってきます!』

「いやー、強いね女子高生は。佐藤くんも少しは見習えば、ちょっと、中華鍋はやめて!」

「…あいつ、大丈夫か。あんな泣きそうってか弱そうな所初めて見た。」

「まあ、全部佐藤くんのせいなんだけどね。もてる男もつらいよね!」

倉庫のドアを閉めて座り込む。キッチンの制服の袖で涙を拭う。泣かないって決めたんだ。そうだ、佐藤さんに好きな人がいるからって私が頑張ればいいんだ。普通に接して頑張ろう。宣戦布告までしてしまったんだし。私は私で頑張ればいい。そもそも報われてないなんて今も昔も変わらない。相馬さんの言うとおり意識してもらえただけ進歩だ。

『うしっ!!』

「あ、名前ちゃん。今日小鳥遊くんが今日休みなんだって大丈夫かなー。」

『お、ぽぷら。えー、八千代さんも帰っちゃったよね?って事はホール2人?しかもまひるでしょ。男性客大丈夫なのかな…。ってかぽぷら届かないの?カップくらい私やるよ。』

「名前ちゃんは女の子にしては身長高いよね。ずるい!なんで!?毎日牛乳とかのんでるの!?」

『飲んでないし身長はいたって普通。ぽぷらが小さいんであって、』

「小さくないよ!」

『私からしたら小さいんだよ。』

「きゃあぁあああ!」

『誰か殴られたのかな。ああ、相馬さんか。ざまあみやがれ。(相馬さん!大丈夫ですか。)』

「名前ちゃん、心の中と言ってる言葉が逆…。もう嫌だ、怖い。今日は小鳥遊くん休みだし殴られる率が高い。やられる。名前ちゃん助けて!」

『え、嫌です。』

「なんで!?伊波さんのパンチを蹴りで華麗に受け止められるのは君しかいないってのに!それで弱みを俺は持ち出さない。ギブ&テイクでしょ!」

『相馬さんのは脅しって言うんですよ。それに全然ギブ&テイクじゃないですよ。いつも人の事からかって。しりませんよ、私は私で精一杯なんですから。自分の事は自分で何とかしてください。』

「いいから仕事しろ。…名前も早くな。」

いつも通り頭をなでられる。嬉しいはずなのになんだか泣きたくなるのはなぜだろう。それを紛らわすために仕事に没頭していたら相馬さんが携帯でまひると話していることに気がついた。え、そういう会話方法かよ。これってお互いのためにならないんじゃ。

『何の騒ぎですか?っていうかまひるの番号いつの間にかゲットして、というか仲良くなったんですね。』

「いやー、携帯電話って素晴らしいよね!(殴られないし)なんかホールの人手が足りないからキッチンで接客できる人いないか、って。」

「無理。」

『ファイトだ、まひるー。』

【そんなこと言わずに!男の人ばっかで種島さんだけじゃまわんないし、私は殴るの我慢するので精一杯だしもう駄目で…、】

『まひる、それは男じゃない。ただのジャガイモ、にんじんそう野菜にでもたとえろ。玉ねぎと肉があればカレーができるぞ。』

「それはよかった。よし、解決だな。俺達仕事に戻るから。」

【お願いします!】

「…俺達がホールいったら誰がキッチンやるんだよ。」

【私が手伝います!】

『そしたらホールは?』

【それもやる!】

『まひる…。人には不可能な事ってものがね、』

結局私と佐藤さんの抵抗もむなしく私は慣れぬスカートをはきホールに出ることに。接客は嫌だったが佐藤さんのウェイター姿はかっこよかった。ときめく自分が馬鹿みたいだ。自分ちゃんと笑えてるんだろうか。こんなことならちゃんと化粧するべきだったか。もう、なんでもいいからさっさと終わってくれ。



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あきゅろす。
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