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04


妹みたいな感じだし、と言われてしまった。それからなんだか佐藤さんと気まずい、というか私が勝手に避けているというか。佐藤さんの顔を見ると泣きたくなる。それでもバイトを辞めない私って真面目だ。というかこんな事で振り回されている自分が嫌になる。さっさとふっきればいいものを、ぐだぐだと悩んで。本当に馬鹿みたい。

『これって、告白する前に振られてるってことですよね。いや、元々振られるってわかってたんですけどね。』

「んー、そうだねぇ名前ちゃん。でも言ってみないと分かんないしほら、意識させるっていう目的じゃないっけ?」

『…相馬さーんっ。どうしたらいいんですか。キッチンって最近3人だし話すしかないし。むしろホールにでるとか、』

「はいはい。頑張ろうねー。」

『ううっ、一日が長いっ。バイトがこんなに長く感じるなんて!』

「あ、おい名前。お前最近俺のこと避けてないか?」

『え、いやあの、』

「俺、食料の在庫見てくるねー。」

『(相馬てめぇえ!まずい、とてもまずい。はっきりとここで好きだと言うべきなのか!?いやでも、)いえ、全然普通ですよ。あははは。で、何かありました?』

「…俺がなんかしてなら謝るわ。お前に避けられると仕事ははかどんねぇしなんつーか、」

『(なんで頭なでるんですか。そういうことするからうかれるんですよ、とも言えないし。とりあえず普通に接しよう、普通に!)避けてません。仕事やりましょう!』

「あ、そうそう砥石みてねぇか?キッチンにねえんだよ。」

『え、ないんですか?おかしいですね。あ、小鳥遊くん、ぽぷら。砥石知らない?』

キッチンにない事を説明するとぽぷらがキッチンにあるはず、と答えた。だからないんだって、と私がいえばなんか名前ちゃん怖い!と言われた。こちとら最近考え事ばっかして色々大変なんだよ。可愛いけどぽぷらはいらいらしてる時にみたくない生物だな。こう、酷い事したくなるというか。

「名字さん!先輩をいじめないでください!でも怯える先輩も可愛い!でも名字さんなにかあったんですか?」

「うんうん。最近元気ないみたいだよ。大丈夫?」

『…ありがとう。大丈夫だよ、駄目だなぁ。年下に心配されちゃ。2人ともいい子いい子。』

「…なんだかちゃんとしたお姉さんみたいな人名字さんが初めてです。年増でも大丈夫かも俺。」

『年増じゃねえよ。』

「12歳を超えたら年増ですよ!」

「それ世の中年増だらけじゃねか。」

「佐藤くん、刃物持ったままうろついたら危ないわよ。」

『あった!ちょ、八千代さん。なんで刀研いでるんですか、危ないですよ。砥石でいいんですか研いで…、』

「確かにちゃんと手入れしとかないといざって時に困るよなあ。」

「使ったらまずいんです!!」

切らねばいけない人がいるの、という八千代さんはでてきた音尾さんにきりかかり始める。それを傍観する佐藤さんとぽぷらに騒ぐ小鳥遊くん。その向こうに相馬さんが手招きしていた。また1人だけ高みの見物して。この人をあの騒動の間にぶち込んでやろうか。少しくらい着られてもへこたれなさそうだし。

『はい、なんですか。』

「ううん、ちゃんと話せてたみたいだから大丈夫なのかな、って思っただけだよ。なんだか普通でつまらなかったよ!」

『素晴らしい笑顔で言わないで下さい。もう応援してくれてるんだか、してくれてないんだか。邪魔するだけならほっといてくださいよ、うぜぇんで。』

「酷い!してるよー。でもほら名前ちゃんってあんまり俺が知ってる隠し事がないからほら、ね。」

『脅せないってか。相馬さんって本当に人に好かれなさそうですよね!』

「名前ちゃんも相当酷いよね…。さっきから俺の心にぐさぐさきてるよ。」

「なにしてんだお前ら、そんな隅でこそこそ。」

「えーっと、密会?」

『さ、作戦会議?』

「は?」

気にしない気にしない!と佐藤さんの背中を押し仕事にかかる。なぜか佐藤さんは相馬さんを蹴っていた。なにかいらつくことがあったのかな、と思いながらフライパンに火を付けた。そういえば音尾さんは大丈夫だったのだろうか。まぁ、騒ぎになってない所をみるとうまく言いくるめたのだろう。そんなことより私は自分の悩みでいっぱいいっぱいだ。



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あきゅろす。
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