[携帯モード] [URL送信]
02


今日は暇だなぁ、とキッチンでぽけー、とする。注文がないとキッチンは暇だ。ホールは掃除なんかしてるけどキッチンはやり始めたら途中でやめれないし。なにしようかな、と欠伸をすれば佐藤さんが口に苺を入れてきた。あ、甘い。それを見たらデザートが作りたくなってきたので作るぞ、と張り切ると佐藤さんにぐしゃぐしゃ頭を撫でられ髪をいじられた。

『もー、また髪の毛を。まぁ、ぽぷらみたいに変な髪型にしなきゃいいですけど。』

「可愛い可愛い。」

『…そういう事を軽々しくいうもんじゃないですよ。なんで私には可愛い、って言えて八千代さんには言え、痛い!痛いです!はぁー、…へたれ。』

「なんだ反抗期か。(でも最近轟が店長の話してもイライラしないってか)お前なんかアロマ的なもん分泌してるだろ。」

『佐藤さん話の脈略がないです。…佐藤さん、うまくできたと思いません?このパフェ。』

「まぁ、パフェはフロアの奴らが作るからあんまりやらねぇな最近。名前は特に生クリームうまく絞れねぇし。で、それどうすんだ?」

『私甘いものあまり、半分位なら食べれます!あ、キッチンで煙草は駄目です。』

「はいはい、じゃあなんで作ったんだ。『はい、あーん。』ゴホゴホ!おまっ、」

『あ、甘いもの好きじゃないんでしたっけ。あ、相馬さん。お腹空いてますか?』

「名前ちゃんが作ったの?へー、うまくできたじゃない。珍しいね。あーんしてくれるなら食べて、フライパンは痛いよ!佐藤君にはやったのに差別だ!」

『意図的にやるのはむかつきます。』

「名前ちゃんって俺に対して辛辣だよね。」

『まぁ、相手が相馬さんですし。あ、店長!パフェありますよ。この苺美味しかったですよ。よかったらどうです?』

「丁度腹減ってたんだ。さすが名前、ありがと。」

パフェは店長が食べてくれるしよかった、と思った瞬間後ろから八千代さんが刀を持って現れた。…やべぇ、これは私がパフェを作って店長に餌付けしたと思われてますよね!殺される、どうしよう。さすがに刀持ってるとはいえ女の人に手を上げるのは私も気が引ける。それに佐藤さんに頼めるはずがない。

「名前ちゃん…、杏子さんにパフェ作っちゃったの?私があげたかったのに、パフェ、」

『あー、違います八千代さん。これはですね、やっぱりパフェは千代さんに作ってもらわなきゃ、他人のパフェじゃ駄目だなって店長に再認識してもらうためです。そう、店長にはやっぱり八千代さんが必要と思い知らせるためにです。』

「なんだかよくわからんが八千代は私にとって大事だぞ。必要だから傍にいろ。」

「杏子さん!ありがとう名前ちゃん!杏子さん私が必要って再認識してくれたみたい!」

『いいんですよ、気にせずとも。じゃあ2人で休憩室にでも、いいんですいちゃこらしててください。今日はどうせ暇だし、なにかあれば呼びますから。ははは!あー、…命拾いした。疲れた。』

「よ、口から出任せ。」

『刺しますよ?相馬さん。2人して傍観してないで助けてくださいよ。それでも男ですか。』

「助けなくてもなんとかするしな、お前。それに刀持ってる奴は男女関係ないだろ。俺達がやられる。」

「そうだよ名前ちゃん強いし。俺は今のままでいいと思うけどもうちょっとか弱い方が一般受けするんじゃない?まぁ、一般受けよりもただ1人に受ければいいんだけどね。本当に片思いって大変だね!」

「『…。』」

これ私に言ってるように見せかけて佐藤さんにもダメージ与えてるよな。ってか私はただの憧れの線もあるんですが。付き合いたいとかじゃないのにな、別に。尊敬と言うかなんというか。まぁ相馬さんに反論したって無駄だし。言ってもこいつの場合聞かないだろう。

「相馬仕込み終わったのか。」

『私盛り付け終わりましたよ。さぼってないで働いてください。』

「でも名前ちゃん、これ、きのこがこっちだけ多くない?」

『いつも細かいですね。男のくせに細かいとモテないですよ。うざったい。気になるなら自分で直せばいいじゃないですか。暇してるんだし、どうせ。』

「もしかして名前ちゃん相当怒ってる!?『別に、』ごめんごめん。お詫びに佐藤くん、ほら。頭撫でてあげてよ。」

「なんで俺。お前が悪いんだろ。よくしらねぇけど。」

「俺より佐藤くんの方が喜ぶと思うよ。」

『もうまひるが来ても助けてあげません。』

「ごめんなさい!それだけは勘弁して!あれに立ち向かえるのは君位なんだから!」

『いつも恩をあだで返すような事するからいけないんです。自業自得じゃないですか。何べんか殴られて記憶飛ぶどころか性格リセットすればいいのに。』

「それいいな。今度あいつが来たら相馬を差し出すか。」

「やめてよ!?」

「名前ちゃーん!」

騒ぐ相馬さんを無視して盛り付け終わった料理をカウンターに置けば、ぽぷらが涙目で助けを求めてきた。また身長関連だろうか。もうぽぷらの成長期はendしたんだろうな、可哀想に。どうやらご立腹らしく憤慨しているがその姿は全く怖くない。頭をよしよし、と撫でながら話を聞いてやる。佐藤さんも私を撫でる時こういう心境なのかな。

『どうしたー、ぽぷら。』

「かたなしくんが酷いんだよ!お客さんに中学生って言われたのにかたなしくんは小学生だって!前も私怒ったのに反省してないし!」

「怒ってる先輩、可愛い!」

『あれは無駄じゃないか。いいじゃん可愛がられて、ホールのアイドルぽぷら。』

「ホールのアイドル、」

「喜んでる先輩可愛い。じゃあキッチンのアイドルは名字さんです『全然。』否定早!」

「えー、なんでー。名前ちゃんは仕事早いし強いし優しいし可愛いし美人さんだし。」

「唯一まともで可愛いものくれる優しい人ですよね。」

『誉めてくれた2人には飴をあげましょう。アイドルなんて柄じゃないし願い下げだけどね。私もホール行こうかな。佐藤さんと相馬さんがいじめるんだよ酷いでしょ。』

「本当!?いじめちゃ駄目だよ!」

「えー、どっちかっていうと俺の方が苛められてるよ。いなくなったら佐藤君と2人きりじゃん。」

「やめてくれ。苛めてない、苛めてない。」

「そういえばキッチンに女の人って珍しいですよね。結構力仕事ありますし、普通ホールに行きません?」

『でも佐藤さんいるから助かってるよ。色々してくれるし、優しいし。』

「…、」

「あ、佐藤くん照れてるー。じゃあ名前ちゃん俺は?」

『…さてと、これ冷めないうちに8卓に運んでね。佐藤さん休憩はいりましょうか。お茶いれます。』

「おう。あ、今日あがり一緒だろ。送ってく。相馬ー、仕込みよろしく。」

「酷い!」

嘆いている相馬さんをシカトで佐藤さんと休憩室にいく。マルボロを吸う横顔はやっぱり格好いい。こんなお兄ちゃん欲しい、あれ、お兄ちゃん!?私本当に佐藤さん好きなのかな。んー、頼りたい感じなんだよな。球に可愛いけど。ほっとけないというか。憧れって言葉がしっくりくるけど、うーん。

「なに見てんだ。」

『…佐藤さんなんで八千代さんの事好きなんです「ごほっ!」か、そんな照れないでくださいよ。』

「…そういうお前はいないのかよ。相馬は知ってるみたいだし、好きな奴いるんだろ?」

『…憧れ、って感じでイマイチわからないんですけど。格好いいです、優しくてごほっ!なんでこっちに煙吐くんですか!』

「いや、なんとなくイラッとした。(なんでムカついてんだ俺、)」

『もう、酷いですよ。』

「悪い、悪い。まかない作ってやるから許せ。」

『わーい、お腹すきましたー。』

その後出てきたまかないはいつも通り美味しい。ああ、料理できる男っていいなぁ。付き合おうなんて恐れ多い事ははなから望んでない。そもそも片思いってわかってるから割り切っているというか。このポジション気に入ってるし、とるんるんする私をじっとみてなにか考える佐藤さん。気になって聞いてみたがはぐらかされた。なんなんだ。



[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!