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肝試し1

「肝試し」は拙宅にすでにUPされているロキャスです。ZxSサイト様が企画へリンク支援して下さると聞いて
急遽ZxS仕様に変更しました。参加に名乗り出て(というか勧誘しました)下さってる方を考えても、ZxSの
投稿はないと思われたのでいつもの手段に出ました^^ こんな感じのゆる〜い企画ですので参加の皆様、
お気軽に考えて下さいね








「サンジってさぁ、幽霊信じる?」
事の発端は級友のこの一言だった
低いバリトンとそのゆったりしたトークが眠気を誘うので有名な古典の授業。
かなり前の方の席で、船を漕いだりしたら一発でバレてしまうサンジは 盛大に襲い来る眠気との戦いに
辛うじて勝利を収め 次の授業までの休息だとばかりに机につっぷしたところへ、この一言だ。
「んぁ〜〜? ゆーれー?」
そんな事はどうでもいい、と生返事で 睡魔に従って眠りに落ちようとするサンジの肩がゆさゆさと揺すられる
「なぁ、信じるか?」
今の俺には居るのか居ないかの幽霊という存在よりも確実にやってくる次の授業の先生の方が怖い。
5分でいいから寝かせて欲しい
眠気でよく働かないアタマは体の欲求に従って睡眠を優先する
「ん・・・、ん〜・・・っちでも、」
(居ようが居まいが)どっちでもいい、と もごもごと口の中で呟く
「え?何?どっちよ。信じんの?信じてねーの?」
食い下がる質問に答えるのも面倒だ
「・・・・ない、」
どっちでも構わない、の最後の2文字だけが聞き取れたが、どちらにしろサンジは目に見えない物は信じちゃいない
「じゃぁ、おまえも今日参加な!」
何に参加かも知らないまま、級友のその言葉へサンジは すぅすぅと漏れる安らかな寝息で答えた






"じゃぁ 5時に幽霊屋敷に集合だから!"
そう言って帰って行ったクラスメイトの顔は楽しそうに笑っていた
あまりの眠さに適当に返事してしまったらしいサンジは幽霊屋敷探検という肝試しに参加する事になったらしい
(まぁ 幽霊なんて信じてないし、宿題さえ終わらせてしまえば夕方ちょっと家を出るくらいはOKだし)
夏も終わりのこの時期に なんで今更肝試し?なんて無粋な事は言わない
自分達は集まって騒ぐ切っ掛けがあれば何だっていいんだ。
毎回サンジに声が掛かるのは、塾通いをしていないのと、割と遅めの時間でも家を出して貰えるから。
今回は肝試しという事もあって集まる人数は少ないらしい
自分の他に3人。
たったの4人じゃ今日は早々に解散かな、と軽い気持ちで待ち合わせの確認に頷いたサンジは
さっきから駆け足で幽霊屋敷に向かっていた
うとうとしていた古典の授業が祟って宿題に思ったよりも手間取ってしまった。
サンジの親は、甘いようでいて甘くない。 終わっていない宿題を置いての外出なんて許しちゃくれない。
(あぁ、30分も遅れてる。 3人で先に入ってるかも)
ノートを見れば簡単!と思っていたら 当てにしていたノートが みみずの這ったような解読不明の文字が綴られていて
本日のサンジの奮闘具合を物語っていた
頭を悩ませながらなんとか終えて家を出た頃には すでに待ち合わせの時間になっていて、携帯なんてまだ持ってない
サンジは "電話があったら遅れるって言っといて!" とリビングに向かって叫んで家を飛び出してきた
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・ちぇ、やっぱ、先に行っちゃってる・・・」
息せき切ってたどり着いた屋敷の前には、やっぱり 級友たちの姿はどこにも無かった
流石に 30分も遅れて来た身としては、なんで待っててくれなかったんだ、とは言えるわけがない。 だけど、困ったことに
「俺半分寝てたから、どういう手順になってるか聞いてないんだよなぁ・・・」
中に入ってぐるっと回って出てきたらいいのか?
(30分・・・じゃ、さすがにまだ出てこないだろ)
追いかけて入れば中で合流できるかな
「しまった。どこが絶叫ポイントか聞いておけばよかった」
屋敷の間取りも知らないから、頼りは家から持ってきた小さなペンライトのみ。
それでも中に入れば誰かの声が聞こえるだろうと 高を括ったサンジは屋敷の門をくぐって足を踏み入れた

「おじゃましまーす」
玄関に入る時に声を掛けてしまうのは ほとんどの人間の持つ共通の癖だろう
当然ながら出迎える声がないのは分かっていたが 級友の声が聞こえないかと耳を澄ませる
(うーん・・・・全然聞こえない。そうか、30分も経ってるんだから もっと奥まで進んでるよな)
下手すると追いつけないまま解散になってしまうかもしれない
(まぁ 遅れたけど屋敷には入ったぞって事で、中の様子だけでも見てくか?)
くるくるっ、とペンライトを回して 軽い足取りで先へと進んでいく
迷うほどややこしい造りじゃないと良いけど。・・・外観からすると、3階建てのL字型の古めかしいお屋敷。
先に上まで上って順に部屋を見ていこう。途中階段ででもすれ違えたらラッキーだし。
ぎしぎしと軋む階段を慎重に上っていく
下手に踏み抜いてしまわないように、真ん中じゃなくて手すりの際を。
(蜘蛛とかは普通に居そうだよな。蜘蛛の巣さえくっつかなきゃ構わないけどさ。それよりも、ゴキ・・・が
居なければいいんだけど)
幽霊よりはむしろそっちに遭遇する方が怖いかもしれない
だって、目の前に飛び出てきたら、つい 反射でぶっ叩いてしまうのだ。
家族はそれを知っているから 部屋にアレが出た時には何も知らせずにサンジを誘い込む
うっかり叩き潰してしまって悲鳴を上げるサンジにはお構いなしだ。いや、むしろ姉ちゃんなんかは
弟の反応を楽しんでいるような気さえする。
アレを手で潰した時の感触・・・・嫌な事を思い出して サンジは ぶるっ、と身を震わせる
「しかも、ここ 水とか出ないんじゃね? うわっ、潰れた汁とか手につけて家まで帰るとか絶対ヤだって!」
ポケットにハンカチは入ってたはずだけど、ウェットティッシュなんて持ってきてないぞ
(あぁ、アレにだけは 遭遇しませんように・・・)
足元に気を配りながら、最奥の部屋から見ていこうと取っ手に手を掛ける
握った手に埃を感じて あれ?あいつらここには来てないんだ?下から回ってるのか?と首を傾げて中に踏み込む
「うわ・・・・」
当然電気なんてつかないから、ペンライトで照らした真っ暗な部屋は 室内にある物が作る影が不気味に浮かび上がる
それでも頼りないペンライトの光では 薄汚れた壁の染みだとか破れた椅子のシートの汚れだとかは映し出せない
(電気は灯けない方が正解かな)
試しに ぱちぱちとスイッチを入れても やはり中は暗いままだ
「あ。 つくわけないか。電灯、割れてる」
全部こんな感じなのかなぁ。
薄暗い明かりじゃ どの部屋も同じに見えそうだ。 それって1人で廻る分にはつまらないかもしれない
集まって、わいわい言いながら廻るから楽しいのだ
「・・・・さっさと廻って、合流しよ」
ぱたん。
扉を閉めて、次の部屋へと進む
2〜3見て廻ったサンジは、あとはもう事務的に扉を開け閉めするだけになっていた。
怖くもないし、部屋を観察できるだけの光量もないのだから仕方ないかもしれない

「・・・あれ?」
1階に降りたサンジは、階段を曲がったところで 視界の端を横切る影を見た
(追いついた?)
すでに合流は半分以上諦めていたのだ。 声の一つもしないから、みんなもう探検を終えて帰ってしまったと思っていた
慌てて首を巡らせても、一瞬しか見えなかった影がどの部屋に入ったのか分からない
「ちょっと待てよ!誰か居る?」
どこだ? と目をこらすサンジが、あっ!と声を上げる
奥に見えるL字の角の部屋の扉が半開きになっていた
「そこ? そこに居るのか?」
呼び掛けに返事がない事を訝る暇もなく、その部屋から角を曲がる人影が見えたような気がした
サンジの持つペンライトではそんなに遠くまでを明るく照らし出す力はなくて、暗い廊下の奥で
何か黒い影が揺れたようにしか見えない
「待てって!俺だよ、サンジだって!」
小走りに追いかけるサンジが扉を回って廊下を曲がろうとした、その時。
扉の影から伸びた手がサンジの口を塞ぎ、全く無警戒だった体が後ろから羽交い締めに掴まれる
「・・・・?!」
声を立てる事も出来ずに蜿くサンジの体が部屋の中に引き摺り込まれ、ぱたりと静かに扉が閉まった





「む、ぐ、・・・むむ?!」
扉の閉まった部屋の中は真っ暗で、掴まれた拍子に驚いて落としたペンライトはどこかへ転がっていってしまっていた
誰かの悪戯だとすれば かなり質の悪い冗談だ。
押さえられている体はどこにどう力を籠めても自由にならない
誰の冗談だ!
・・・―――冗談・・・だよな・・・?
自分の背後にいるのが級友ではなく見知らぬ他人である可能性にひやりとしたものが背を伝う
落ち着いて考えてみれば 自分の後ろにいる人間はサンジの友人の1人にしては背が高い
(う・・・そ?! 俺達以外に誰か居た?!)
事態に気付いたサンジが必死に腕を解こうと暴れだす
友人だからと安心していたが、得体の知れない人間に捕まっているのなら遠慮してる場合じゃない
上体が自由にならないのなら動かせる足だ、と背後の人間に向かって蹴りつける。自分の重い蹴りには自信があった。
なのに、背中を向けたままの姿勢ではうまく足に力が乗せられない
「!?」
軸にしていた足が払われ、がくりと体が傾いた
それでもサンジが転ばずに済んだのは後ろから抱えるように羽交い締めにされていたからだ。
宙に浮いた体が不安定に揺らぐ
足が床に着いたかどうかのうちに 頬に当たる風は自分の体がどこかに運ばれているのを伝えた
碌々地に着かない足では踏ん張ることも出来ず 暗闇でもぶつかること無く動けるほど室内を熟知している相手と違って
一瞥すらしていないサンジは抵抗を止めざるを得ない
真っ暗な中、めいっぱい見開いた目でいくら見回しても何も見えないほどの闇なのに、まるで見えているかのように
スムーズな動きで部屋を横切った相手が、どさりとサンジの体を放り出す
倒れ込んだサンジの頬に当たったのはリネンの感触で、すぐに身を起こそうとしても柔らかいクッションが災いして
もたついた隙に今度は馬乗りにのしかかられてしまった
「誰、だよっ!」
代わりに自由になった口から、サンジの怒鳴り声が飛び出す
誰何する言葉を続ける隙を与えず、何かが口に突っ込まれて、突然の事にえずくサンジの腕が掴まれ引き上げられた。
カチリ、と音がして両手が何かに繋がれてしまう
混乱するサンジがなりふり構わず蜿くのに、すっかりマウントポジションを取った相手は余裕のようで、
しばらくサンジの暴れるままにさせて自分は動きを止めてしまった


ふぅっ、ふぅーっ
腕の自由が奪われ口内の異物を取る事もできないサンジの 必死の呼吸音だけが聞こえる
暴れても無駄だと悟ったサンジは、それでもピリピリと警戒して闇の中、相手の居る方角を睨んでいた
(誰だかわかんねぇけど、俺の反応を見て遊んでる)
抵抗が止んだのを見てとった相手の方から、密やかな空気の流れを感じる。 忍び笑いでも漏らしているのだろう
ぎろりと目に見えぬ空間の先を睨む
自分の上に乗り上げている体から細かな振動を感じ、相手が頭上で笑っているのが分かった
(腕の自由を奪って転がして、何がしたいんだ、こいつ!)
感じるべきは身の危険のはずなのに、憤りの方が先に立ってサンジは喉の奥で唸った
そろそろ目が慣れてきてもいいはずなのに一寸先も見えない闇で、空気の動きを感じる
ひた、と相手の指先がサンジの喉元にあてられた
(・・・首を、絞められる?)
ぎくりと身を強張らせたサンジの体が、ひくん、と小さく跳ねた
(え・・・? 今の、何・・・?)
戸惑うサンジに構わずに、さわさわと その手が首筋を撫で上げる
「っ?!」
相手の意図が分からず 動揺するサンジを嘲笑うように、手は 縦横無尽に動き始めた
くすぐったさに身を捩るサンジの襟元から、ぷち、と音が響く
シャツの、ボタンが、一つずつ外されていく音。
(脱がされ・・てる・・・・?)
懸命に 相手の方を睨んでいた目が、驚愕に大きく見開く
漸く暗闇に慣れ始めたサンジの目は少しずつ部屋の輪郭を捉え始めていた
判別可能なほどには見えないのだがそこに物があるかないかくらいは形を捉えられる
自分の上には馬乗りになっている人物がいて、そいつの手はシャツを捲り、釦を外して直に肌に触れ始めている
(触れている感覚は、ある――のに、)
いくら目を凝らしても 輪郭すら見えないのは どうしてだ?
「むぐっ!」
ぴちゃり、と自分の頬を濡れた舌が滑るのに、その吐息すら感じるのに、
―――見えない。
そう認識した途端に、足元からじわじわと恐怖が這い上がってくる
(だ、れ・・・? 俺に、触ってるのは、誰だ――?)
恐怖に零れ落ちそうなほど見開かれた目をいくら瞬かせても、その姿を捉える事はできなかった―――





「は、ぁっ、はぁっ、あっ、あ、も、嫌・・・っ、ぁ、」
あれからどのくらい時間が経ったのだろう
すっかり服を剥ぎ取られたサンジの体は、今は俯せて腰だけが高くもたげられていた
固定された手を前に差し出したまま、ぼろぼろと涙を流して許しを請う
混乱で埋め尽くされた脳は 自分がどんな状態かもうまく把握していない
恐怖の対象であるモノから与えられる痺れるような甘い刺激に サンジは身を捩り、声を上げて涙を流す
気付けば、口内の異物は取り除かれていた
それでも助けを呼ぶ悲鳴も出せないほどひっきりなしに喉から漏れるのは、喘ぎと、嬌声と、時折思い出したかのような懇願。
「あ、うぅっ・・・・」
ぶる、と背を震わせたサンジが 体をひくつかせて、もう何度目かの吐精を終える
くたくたに疲れた体はすぐにもシーツに崩れて沈みたいのに、無理に立てられた膝の間を見えない手が弄り続ける
あぅ、あ、と意味を成さない音を出して やめてくれと首を振っても その手は疲れた身体を休ませてくれない
「っひ!あ」
生気を失いかけていたサンジの体が 大きく震えた
それまでそんな使い方をした事もない場所に、熱くて固い何かが押し込まれ、蹂躙し 深く抉る
ぐちゅぐちゅと聞くに耐えない音が聞こえるのは それが何度も行われた結果で、サンジのそこはすでに痛みの
感覚は麻痺していて、代わりに腰から下が痺れるような疼きを与えていた
仰け反った背が震えているのは先程までとは違う恐怖の為で、逃げようと上にずり上がる腰が大きな手に引き寄せられる
(そこは、もう、触れるなっ)
入り口から そう深くないその場所を突かれると、サンジの喉は短い音しか出せなくなるのだ。
勝手に腰が跳ね、うねり、快楽を貪るのを止められない
「も、ぉ。や・・・だ、ぁ」
遠退きかける意識が過ぎた快楽で無理矢理引き戻される地獄の繰り返しに、漏れた泣き言は切れ切れで、
例え友人達が外を通ったとしても聞き取る事は不可能だっただろう。
サンジの方も、自分がなんで此処にいるのかなんて すっかり頭から抜け落ちていて、助けを求めるべき対象を
思い出す余裕も無かった
胎内に熱い迸りを感じて ひくり、と肩を震わせたサンジがつられて精を吐き出す
(も、だめ・・・・死ぬ・・・)
腕と身体を貫く楔から解放された鉛のように重い身体がシーツに沈む
また、間髪を入れずに引き寄せられるのを覚悟して歯を食いしばったサンジの耳に、"外からの声"が届いた

「誰か 居るのか?」
それが、部屋の外の声だと気付いたサンジが、のろのろと顔を上げて 半ば以上閉じてしまっている瞼を必死で扉に向ける
その目に映ったのは、ゆっくりと開く扉の向こうから中を覗く黒い人影
影が横に伸びたと思ったら、ぱちりと音がして、室内に明々と明かりが灯った
眩しさに思わず目をつぶったサンジは そのまま、すぅ・・・っと泥沼に引き摺りこまれるように意識を手放した




「気がついたか?」
目覚めた途端、話し掛けられて 戸惑った顔を声の方へと向ける
目の前には 見知らぬ男の人が居て、伸びてきた手がサンジの額にそっとあてられた
極端に力を使い切った体に触れる手は温かく、自然と肩から力が抜ける
「おまえ、この辺のガキか」
ぼうっとその声に聞き入っていたサンジは、一拍遅れて自分が話し掛けられているのに気付いて頷いた
―それだけの動きで、溜息を吐きたくなるほど体がギシギシと軋んで顔を顰める
その様子を見た相手が苦笑しながら 大丈夫か? と肩をさすってくれて、サンジは自分の体が清められて
服を着けている事に気付いた
「あ・・・」
あんたが? と聞こうとしてあまりにも掠れた声に驚いて口を噤む
目の前の人は 手を貸して ゆっくりと慎重にサンジの体を起こした

寝かされていたベッドに起き上がったサンジに冷たい水の入ったペットボトルが手渡される
力の入らないのを見越してか、それはすでにキャップが外されていた
飲め、と促されて口を付ける
声の上げすぎで乾いていた喉に 冷えた水がじんわりと染み渡る

「――ありがとう」
水も、服も、綺麗にしてくれたことも全てひっくるめたお礼を言う声がようやく出せた
その事にほっとしたサンジを眺める相手が 静かに話し始める
彼がこの屋敷の持ち主だった事。
住んでいる場所はここではないので、たまに管理も兼ねて様子を見に寄る事。
だから、電気の点く部屋はここでは数えるほどしかない事。
たまたま今日やってきたその人が 部屋の前に落ちていたペンライトに気付いて中を覗いた事などを、
順序立てて分かりやすく説明してくれる。
ロロノア・ゾロと名乗ったこの屋敷の持ち主は、最後に こう締めくくった。

「この屋敷は質の悪い霊が取り憑いてんだ。軽い気持ちで肝試しに来んじゃねぇ」
勝手に入った上に助けて貰って、しかも、あんなところを見られているサンジは顔から火を噴く思いで
すみません と身を縮めて消え入るような声で謝った
今日起こった事があまりにも強烈すぎて ショックを感じる神経も麻痺しているらしい
しょげ返るサンジに苦笑いを浮かべたゾロに "一人で帰れるか?" と確認されて級友の事を思い出した
「あっ、俺より先に 友達が来てたはずなんだけど」
あいつらはどうなったんだろう、と思わず部屋の扉の方を見遣る
「おまえを寝かせた後、一通り見て回ったけど誰もいなかったぞ」
と教えられて、それなら先に帰ったんだなと納得した
(あいつらは何ともなかったんだ。・・そうか、俺、一人だったのがまずかったのかも・・・)
それなら、たまたまこの人が来てくれてよかったんだ。あぁ、それに、あんなの友達に見られたら合わせる顔が無くなる。
思い出して、じわじわと顔が赤く染まっていくサンジの前に、温かい飲み物が差し出された
それを飲んで落ち着いたら親が探しに来ないうちに帰れ、と言われて ぎょっとする
自分がどれくらい意識を失っていたのか分からないが 外はもう真っ暗だろう
焦るサンジは、ゾロから 「まだ7時過ぎだ」 と教えられて安堵した
この時間ならなんとか夕食には間に合う。
思ったより時間が経っていなかったんだと安心して、サンジは漸く笑みを浮かべる事ができた






助けられた事に何度もお礼を言って帰って行くサンジ。
その後ろ姿を見送って屋敷に残った主が唇を歪めて にたりと笑う
「まぁ、俺の事なんだけどな」
そう一言残して、すぅ――・・・と闇に溶けて消えていった






 開かずの間


幽霊屋敷の持ち主。
――それが生きた人間だとは限らない












Catch!    ススム。

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あきゅろす。
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