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空涙の裏側
第四話〜仕事内容とストーカー〜



『あの。仕事の内容なんですけど・・・』

目の前には土方さん。

真撰組に入ったはいいけど私まだ何にも知らないからね?
今日の朝情報の探りから帰ってきたFDに「佐樹、何か仕事やりました?」って言われたけどこれからだから。4話になってこれからだから!!

「ああ そうだな。まあ基本は見回り・書類整理・お偉いさんの護衛とかだな。くわしいことは山崎とかに教えてもらえ。そうそう、今日の晩はお前の歓迎会するらしいからどっか行くなよ」

山崎さん任せじゃん!忙しいんだろうけどさ、副長も。
やっぱ更に上の局長とかもっと大変なんだろうな。

『分かりました。』

といっても何しよっかな。
山崎さんどこ居るか分かんないし とりあえず部屋戻りますか!


***



ふう やっぱり自分だけの部屋っていいな。
何か落ち着くし。

「佐樹、仕事も一段落決まったみたいですし 私はそろそろ自分の居場所が欲しいんですが…」
『そうかな?』
「いりますよ。買って来てくれないならずっとあなたと行動することになりますよ?ずっと見られてて気分いいわけではないでしょう?あなたの呼びかけには答えますし、さっさとパソコン買ってきて下さい。そうじゃないといろいろ調べるのが面倒くさくって、やっぱりインターネットで調べたりする方が楽でs『分かった分かった。とりあえずパソコン買ってくるから』パソコンじゃなくてもいいんですよ?たとえば…………」

ここからは あんまり聞いていない。
っつーか別に私はずっと見られてて不快に思った事なんてないんだけどね。
機械に面倒も何もないと思う。けど合成とは思えないほどの人間らしい声で喋るからこっちが悪い事をした気分になっちゃう。
前話でも分かる通りとりあえずパソコンは持っている。
が、大分傷だらけの血だらけになってしまっていた。基本的に小さい物を買うんだけど、幾ら小さくても戦いに巻き込まれればそりゃあボロボロになるよね。

「あの〜森崎総隊長いますか?副長に言われて来たんですけど…」

山崎さんだ。
何の変哲もない声だから逆に分かりやすい。
言ってみれば無趣味が趣味だとか、特徴がないことが特徴だとか、そういう感じ。

『いますいます。じゃ仕事の事色々と教えて下さいね?』
「はい」

それから私は 見回りとかについていろいろと教えてもらった。
話が一段落ついたところで
「ところで総隊長、最初着ていた服以外に何か持ってるんですか?着物とか生活必需品とか…」
と聞かれた。
確かに一番最初に来ていた服と真撰組の制服と、あと数枚ぐらいしか服は持ってない。
別に女の子らしくないとか幾らでもそんな声は受け付けるよ、聞き流すけど。

『そういえば 全然持ってないですね、服。どうすればいいとおもいます?』
「局長に言ってみたらどうですか?喜んで協力してくれそうですけど」
『そうですね。説明とかありがとうございました』

私は局長室に向かう事にした。
さっきの道案内の途中に通ってちゃんと紹介してもらった部屋だから分かる。

『近藤さんいますか?』
「おう どうした?仕事の説明とかはしてもらったか?」
『はい。そこで相談なんですけど、私着物とか必要な物持ってなくて。それで…』

一応言っとくけど私はお金なんて持ってない。
…そんなことに使うお金なんて、持ってない。
…もらえるかもしれないのに、使わなくていいかもしれないのに、それなのに使うお金なんて持ってないから!

「そうかそうか。んじゃ、これで買ってきなさい」

そういって差し出されたのはそれなりに厚みのある茶封筒。
…こんなにいいのか?
流石に罪悪感?的なものが。

『こんなにいいんですか?』
「いいのいいの。入隊祝いだと思って使っちゃって!」

また言っとくけどこの人は本っ当にいい人だ。
本っ当に。
たとえ外見が…うん、ゴリラでも。

「なんかひどい事 言われたような気がするんですけど…。まあ いってらっしゃい」
『はいっ!ありがとうございますっ』
「じゃあ俺はこれで。これから愛のハンターになってくるからな」

愛のハンター?
…気にするな、私。
超えてはいけないラインを踏んでしまってギリギリで帰ってきた気がする。

『んじゃ 買いに行きますか』
「パソコンもです」
『…分かったよ』

FDにヘソを曲げられたら困るのはこっちだしね。


***

向かった先はデパート。
まあここなら大体の物は揃ってるだろうし さっさと終わらせよう。
とまあこんなカンジで デパートに入って数時間。
買い物全部終了。
ちゃんとパソコンも買いました。FDがずっとうるさくて…。

…私はこの後何で「スーパーにでも行ってなにかお菓子でも買おっかな」なんてお金の無駄使いをしようと思ったんだろう。

スーパーに行こうとして 体の向きを変えた先には近藤さん。
あれ?近藤さんが何でこんな所に?局長も見回り?そんな予定はなかったはずだけれど。
…そういえば愛のハンターとか言ってたな。

と、思ったら何か叫びながら女の人のほうへダイビングする。
因みにいた場所は電柱の上だった。何て逞しい筋肉というか、根性というか。
大丈夫か、女の人。
と思ってたら、近藤さんが吹っ飛んだ。
そりゃもう気持ち良いぐらいの、渾身と思われる右ストレートで。

え?マジ?

と思いながら近藤さんの居る所へいったら、
女の人が・・・近藤さんを踏み付けてるんですけど。

『あの…大丈夫かな?近藤さん?』
「綺麗な弧を描いて吹っ飛びましたね」

そうっと声を掛けてみたら案の上、気絶してます近藤さん。
まああの威力を何の防備もなしに受けてしまったのは災難だろう、局長。
…あ、この人捕まえるべき。では、ないか。
ならここは…この人に謝った方がいいのか?

『あの。うちの局長が迷惑かけたみたいで…申し訳ありません(?)』
「あら?こんなゴリラのところに女の子なんていたかしら?」

その微笑みからはさっき近藤さんを殴り飛ばした人とは思えないぐらいだった。
女の人って怖い。

『新しく入隊してきた森崎佐樹です。よろしくお願いします』
「女の子で隊士なの?私は志村妙っていうの。よろしくね。堅苦しいから敬語は無しで。」
『え?あ うん。じゃあ…お妙さん でいい?』
「それも敬語のような気がするけど…それでいいわ。それじゃ早速だけど このストーカーゴリラさっさと引き取ってもらえないかしら?」
『分かったよ。それじゃあまたどこかで』
「ええ、さようなら」 


…あんな綺麗な人が、近藤さんぶっ飛ばせるような力持ってるんだな(一応私も持ってるけど)
…まさか近藤さんがストーカーしてたとはな。できれば知りたくなかった。ってか松平さんが言ってたのってこういう事か。確かに何か壊しそうだもんな。主にお妙さんが。

これから先無駄使いしようとなんて思わない。と決めた。
実はこのときお金に厳しい、が設定に加わったのは、誰も知らない事である。

その後 買った物入れた袋数個と 近藤さんを持ち帰ってきて、ちょっとした騒ぎになっちゃったのは…まあ当然か。
どっちも両手でがっしり掴んで、しかも歩いて帰ってきてたしさ。


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