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空涙の裏側
第一話〜出会いと言うのは突然に〜




下向いて歩いてた。
これは別に私が暗い子だとかそういう意味じゃなから注意。

きゃっ!! ゴンッ!!

やば、こんな可愛い女の子らしい悲鳴久しぶりに聞いたよ。
もろにぶつかったこの子大丈夫なのかな。
そんな事を考えながら前から凄まじいスピードで私に突進してきた子に視線をやる。

『あ…ごめんなさい』
「前を見て歩いてください、佐樹」
…とっさに言ったけど返事なし。

おかしく思って顔あげたらこっちなんか見ずに私に背中を向けながらあとずさってきていた。
それじゃあ何かに追われてる子みたいじゃん。

「逃げてくださいでございまする!!」
 
は?…なにから逃げんの?

『えっと…なにからかな?」
「だから前を見てみたらどうですか?」
『うっさいなぁ。今おなか減ってんだから下みるに決まってんじゃん…』

FD相手に毒づく。
お腹が空いている人間がどれほどキレやすいかFDは分かってんないのかな。

「見えてないでございまするか!!」

そんな会話が聞こえているはずもない女の子が指をピシッと上のほうへ向けた。
女の子が指差したとこにはガラの悪そうな男…というか 刀差してるから浪士の奴らがざっと12、3人。多すぎる。
ここの通り人少ないから良いかも知れないけど大通りだったら警察が目を光らせ始めるレベルだ。
ってかいまの声であっちのやつら全員こっち向いたよ。

『ああ…お腹空いて 下しか見てなかったよ…』

さっきからイライラしてたこいつら、この発言にキレたらしい。
お腹が空いている時にキレやすくなるのを私がどれだけ説明しても理解してくれないFDに教えてくんないかな。

「うっさい!!こっちはイライラしてるんや!!お前ら叩き斬ったる!!」
『うっさい!!こっちはお腹が空いてるんです!』
「何挑発してるんですか!?…何対抗してるんですか。あんな奴等と戦っても…」
「舐めてんのか てめぇ!!女だからって手加減しねぇっ」

くっさいセリフww
うわ全員とびかかってきやがった。理不尽だな。

…チャキ。
『はぁ。まあ峰打ちで済まさせていただきます、っと』

「うっさ…ぐほっ」



***


『ふぅ…』

「ね?あなたが勝つに決まってるのに」

ものの数分で片付いてしまった。
予想以上に弱かった…。
このご時世は皆こんなものかのかな?

「あの…」

あ、忘れてた。この女の子の存在を。
そりゃもう空気レベルには意識してなかった。

『あ、大丈夫だった?』

そう言って微笑む。
まあ、足元に気絶した男が転がってる状態だから超シュールなんだけどさ。

「はいっ!ありがとうでございまする」

あれ?この短時間でこんなに倒しちゃったから怖がられると思ったんだけど…。
うん、この子いい子だ。すっごくいい子だ。
ついでに私の機嫌も少し向上。良いストレス発散になったからだろうけど♪

「あのっ お腹が空いているのなら お礼にお茶でもどうでございまするか?」

…うわ、聞かれてたっ!!恥ずかしっ!
否、声に出してたのは自分なんだけれどもね!

『いやいや いいんだよ?だっt「何意地張ってるんですか、もう長い間水しか取っていないのに」

…言いかけたよ、言いかけたんだけど。
これを言われて急にお腹が空いてきた。
やっぱ気の持ちようじゃお腹は膨れないみたいだった。

『じゃあご好意に甘え…』

ここまで言ったらもうこの子に 引っ張られました。
否、強制連行されました。



***

「栗子ォォォォ」

…なんか喫茶店でお腹を満たしてたら ヤクザっぽい人が栗子ちゃんに抱きついてきたんだけど。
まあみたところ悪い人ではなさそうだけど。
あ、事情をきいたらしいこの人こっち向いた。

「あれ?君が栗子を助けてくれたの?いやぁ〜ありがとう。ところで名前は?おじさんは松平 片栗虎。んで、こっちが娘の栗子」

『森崎佐樹です』
「名前言ってよかったんですか?」
『うん。別にこの人悪い人では無さそうだし』

幕府の人でなければ大丈…

「でも松平片栗虎って幕府の人のはずですけど?」
『はぁぁぁぁぁぁ!?先に言えよ!!どうしよ…』

私の名前…自分で言うのもなんだけど、舞龍一族の最強の子の名前だから 幕府のほっんの一部の人は知ってるはず…でも死んだと思われてるし このおじさんが必ずとも知ってるわじゃ…な…
え?なに?このおじさん固まってるんですけど サングラスで見えにくいけど なんか眼見開いてる気がするんですけど…え…?

「…舞龍?」

言っっったァァァァァァァァァ!
え?まじで?知ってんの?Why?
多分 今の私の顔凍り付いてると思う。

「今のあなたの顔真っ青ですよ」

…凍り付いてるんじゃなくて真っ青だってさ。

「栗子。先に帰ってなさい。」

うっわぁぁ…
え?さっきからは想像できないほど真剣なんですけど?
お願い栗子ちゃんかえらないでほんとお願い。

「分かったでございまする」

え?栗子ちゃんそんなあっさり!
まあさっきと打って変わっておじさんこれだしね
ああ帰っちゃったよ…。
マヨネーズ見て顔を赤らめる変な子だけど良い子の栗子ちゃんが帰ってしまわれましたよ…。

「…おじさん 幕府の人なんだよね〜。で、くわしく聞かせてもらえるかな?」

『やっぱ そうでしたか…』
「ほらね?」
『ほらね?じゃない!人工頭脳なら先に言った方が良いって判断できるはずでしょうがっ!』

コソコソとFDと話す内容は仕草もおじさんに内容は伝わらない。
あー、もう腹くくって全部話そう。
ほら人は外見で判断しちゃだめだっていうし。
むしろこのくらいの見た目の方がいいって。
うん もう話しちゃおう。

『はい…』

***


「そうか…」

なんかもうびっくりなんですけど。
態度あんま変わってないんですけど。絶対ひかれると思ってたのに。
そうか栗子ちゃんのはここからなのか。
お父さんの教育が良かったんだね、天晴れ!!あはは!!
ちょっと今気分はハイです、何でか分かる?
おじさんと話してて何にも食べてないからだよ?だからこんなにテンション安定しないんだよ?
2話からは普通だと思いますのでどうぞよろしく。

「…ところで江戸に行く宛はある?」

『いえないです。いくあてどころかなんにもないです。』
「もう完全に放浪人ですしね」

なんかFD、性格とか変えてない?
数日前までは私の体調を気味悪いほど心配する好青年だったのに。

「そうか。んじゃおじさんが仕事を紹介してあげちゃおう。しかも住み込み・刀使える・給料いい・の三点セットだ」

あ おじさんの調子戻った。

『本当ですかっ』

まじでかっ!!良すぎる!!

「そうだなぁ…佐樹ちゃんのことは上には報告しないでおくよ」

…思わず 失礼だとおもいながらも おじさ…松平様の顔を凝視しちゃった。
だってだよ?自分でこんなこと言うのもなんだけどそこそこの戦闘能力をもつ女だよ?
一歩間違えれば松平様の本物の首が空の彼方へ飛んでっちゃいますよ?

『い…いいんですか?』
「いいのいいの ただしおじさんの言った所で働いてねぇ〜」

もう 優しすぎます。松平様。 

『はいっ。で その仕事とは?』

「…佐樹、あなた完全に性格、変えてますね。流石です。」

FDが何かいったけど気にしない。


「真選組だよ」


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