オレンジ
>>5






圭に別れようって言われたら、もう浮気は一生止めるって…強く決めてたはずだったのにな。

結局、別れることになって、反省として浮気を止めることすら、俺にはできなくて。
それは自分が弱い証拠で。
それは…きっと弱さから…他人の温もりを身体が勝手に…ココロが勝手に求めるから。

気持ちは圭に向かってて。
でも叶わないから…他人にその思いを吐き出すしかねぇんだ。


時々心底思うのは、

いっそ…


いっそ、違うヤツを好きになれたらいいのにな…。


そう、思うんだ。
でも何故かできねぇんだ。
女々しいけど、…女々しいけど。




蹴った石ころが土手を転がって、川に落ちる。

ポチャン。

小さくて聴こうとしなかったら聞こえねぇはずの音。
でも無意識に目がそれを追ってて。
耳もそれを捕らえてた。


息を吐いてまた歩きだそうとしたらまた携帯がなった。
ディスプレーにはまた三樹の名前。

今度はあまり間を開けずに電話に出た。


「あ?」

『ねぇ、元気?』

「はぁ?…何お前。意味わかんねぇんだけど…」


突拍子もない質問につい声が低くなる。
それでも三樹は相変わらず、男にしては高い声で


『元気?』

「………だから何?」

『……貴幸、…すごい泣きそうな顔してるよ?』

「…は?…なにそ、」


心当たりのないことを言われて呆れた顔をしながらまた歩き出そうとして顔を上げた。


…視界にはまだまだ長く続く土手が見えるはずだったのに。







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