オレンジ
>>3
無機質な音が学生カバンの中から響いた。
まぁ、電話であるのは確かで。
「……三樹か」
開いた携帯画面に映ってたのは『中岡三樹(なかおかみき)』。
同じクラスのヤツ。
ちっこくて、素で甘えただからすげぇ懐いてくる。
顔も悪くないから、周りの男どもは迫られたらイチコロだろうな。
「…なに。…どうした?」
結構長く鳴ってるし、暇だから電話にでない理由もねぇし、とりあえず通話ボタンをして携帯を耳に当てた。
『もしもしぃ?三樹だよ!ねぇねぇ、今どこ?ボクさぁ、暇してるんだけど、遊ばなぁい?』
携帯ごしに聞こえる甘ったれた声。
同じ男かよ?って疑いたくなるほど。
「あぁ?…わりぃけど俺今そんな気分じゃねぇし。他あたれよ。」
学生カバンを背負って持ち、とりあえず立ち止まる。
チャリ…どうすっかなぁ…?
取りに行くの面倒くせぇけど、無いと不便だし。
電話中だっつうのも放置して、置き忘れたチャリのことを考える。
『……ゆ…き!…ちょっと!貴幸?聞いてる?!』
ふと我に返ったのは、耳元で高い声を聞いたからか。
……それとも、名前を呼ばれたからか。
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