苦くて甘いきみの悪戯



時計の針が天辺を指して、真夜中のゆったりとした時間が過ぎる。

「コーヒー入ったよ」

「ん、ありがと」

クリープをとろりと流し入れて角砂糖をひとつ、ふたつ、みっつ。
ぽちゃん、ぽちゃん、と白い正立方体を投入する俺を尻目に、向かいに座った大石は真っ黒の液体を嚥下する。
大石はいつもブラックだよね、特に夜中は。

「それ美味しいの?」

「美味しいよ」

「えぇー」

嘘だ。俺なんか角砂糖みっつでもまだ苦いのに。

「まぁお子様の英二にはわからないかなー」

「なにおー」

ばーかばーかどうせ俺はお子様だよ。
でもどちらかというと大石が老けてんだぞ。

飲もうとしたけど熱くて飲めなくて、ふぅふぅと息を吹きかける。

「英二、」

「な」

に、と言おうとして大石へ視線を向けた瞬間いきなりがたん、と大石が腰をあげて俺に顔を近づけた。
と思ったら、唇に柔らかいものが触れた。

「苦い?」

「…にがい」

くそう、やられた。

手の中の熱い熱いコーヒーよりもさらに熱くなる顔を自覚して悪態をつく。










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コメント下さった奈夕さん、椎奈さん、実由木さん、ななしさん×2名さま貴重なご意見ありがとうございます。
私のフリーダムな文章をこんなにたくさんの方々が見てくださっているなんて感激です!
このアンケートを参考にこれからも更新に努めていきたいと思います。
本当にありがとうございました!

(090818芳アンカ)




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