Diamond Love


23:57、静かな部屋に携帯の着信を告げるメロディーが鳴り響いた。
ディスプレイをみるとそこには愛しい人の名前。

無意識に弾む気持ちを抑えながら通話ボタンを押した。

「もしもし?」
『あっおおいし?英二だよん。…あと2分ちょいで誕生日だね』
「ああ」
『もしや寝てた?ごめんにゃ』
「いや、大丈夫起きてたよ」

明日は部の面々が誕生会を開いてくれるらしい。昨日部活終わりに招待状まで渡されて、本格的だなぁと感心したと同時にそこまでしてもらえるなんて俺はほんとに仲間に恵まれたなぁとしみじみ思ったり。

そんな楽しみまであともうすこし。これから一眠りすればすぐに約束の時間がやってくるだろう。

でも、もう数時間もすればそこで会えるとわかっていても英二の声が聞けただけでこんなにも嬉しい。暗闇に浮かぶアクアリウムに、綻ぶ顔がぼんやりと映った。

「どうかした?」
『んと…』

珍しく言い淀む英二を訝しく思ってやんわりと先を促すと、凛とした声が返ってきた。

『大石さ、コンテナの上で言ったこと覚えてる?』
「覚えてるよ」

覚えているに決まっている。

全国でナンバーワンになろう、と約束したことだ。

今のメンバーなら、英二となら、夢ではないと思っている。

『獲ろうな、ナンバーワン』
「…絶対な」

言い聞かせるように、刻みつけるように誓った。

英二にも、自分にも。



『じゅう、きゅう、はち、』

突然、英二がカウントダウンを始めた。

『さん、にい、いち、』

あ。
時計の針が00:00を指した。


『誕生日おめでとう』


会って言おうと思ったんだけど待ちきれなくて、と照れたように告げる英二が可愛くて仕方ない。

「ありがとう、」

静かな室内へ震えた声が響いた。

『…大石?』
「っ、」

いま英二の顔が見えないことがもどかしくてたまらない。明日になればあの太陽みたいな笑顔が見られる、そう自分を宥めて。

「また明日な、」
『うん、また明日』

名残惜しい気持ちを心の奥に隠して電源を切った。

明日はきっと、いい日になるだろう。






電話を切るときにちゅっと甲高い音が聞こえたのは俺の気のせいだろうか?



Happy Happy Birthday!!!


(生まれてきてくれて、ありがとう。)









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ぎりぎりセーフ
大石おたんじょうびおめでとう!!

(090430芳アンカ)



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あきゅろす。
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