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2,変わらないふたり


2:変わらないふたり





目が覚めると、そこは見たことの無い部屋だった。
部屋というよりは小屋に近い。隙間風が吹いているがなぜか身体は温かかった。
首を動かす気にもなれず、目だけであたりを見回す。壁、天井、小さなサイドテーブル、その上に水差しがひとつ。ここは一体どこなのだろうか。



「目が覚めましたか、ウォーカー。」
「!!」

子供がやっと出入りできるような小さな扉から現れたのは、夢ではない、大切な人だった。まだ寝起きではっきりしなかった思考が、急に覚醒する。そこにたって自分を見つめている青年をまじまじと見つめた。
消えない。



「リン、ク。」
しばらくしゃべらなかったせいか、声がかすれていた。アレンは構わずしゃべり続ける。
「なんだ。やっぱり神田は嘘をついていたんだ。」
「何の話ですか。」


リンクが少々不機嫌に問うてきた。目が覚めて早々、他の男の話をされるとは。


「神田と会ったんです。あ、そういえば神田も生きてました。ジョニーも元気そうでした。」
「・・・・そうですか。」


リンクの返事の温度に、話をそらしたことへの不機嫌さだと思ったアレンは慌てて話を戻す。


「あ、で、神田が・・・リンクが死んだって、言うんです。僕、驚いて、だから・・・良かった・・・リンク、これは夢じゃないですものね。」


そう言って誰もの目を奪うような笑顔でアレンは笑った。そういえば、笑ったのはひさしぶりだと気づく。しかし、リンクはその笑顔に、何も言わず小さく笑みを返しただけだった。
黙ってしまったリンクにアレンがまた話しかけようとして、その前に遮った。


「ウォーカー、もう少し寝ていなさい。君はものすごい熱を出していたのです。夜が明けたら起こしますよ。」
「熱?そうだったんですか。」
「そうだったじゃありません。さっさと薬を飲んで寝なさい。」
「いやです。」
「・・・は?」
「だから、いやです。もっとリンクとしゃべりたい。」
「病人が何言っているんです?馬鹿は相変わらずですね。」
「・・・は?」
「は、じゃありません。いいから寝ろと言っています。」
「リンクこそ頭でっかちは変わってませんね。寝ませんけど。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」




「ふふっ・・・あははっ、僕たち、何も変わってませんね。なんだかとっても懐かしい。」
急に笑い出した。けれど声は震えている。
またこうしてこの人と出会えた。これは神様の仕業?きまぐれ?何でも良い。このひとが目の前にいて、自分を見つめている。


「当たり前ですよ。忘れたとは、言わせません。」


顔を上げ、ゆっくりと視線を合わせる。
窓の無い部屋に、光さえ、差した気がした。






忘れたとは言わせない



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あきゅろす。
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