マスターと歌おう ツンデレ、ヤンデレ 嫉妬深い上我儘し放題 贅沢大好き、自分大好き そのくせ、大の寂しがり 俺だけの、マスター。 もっと俺だけを頼って 他の人なんか見ないで 要らないでしょう? 俺とマスター、二人だけの世界 ヘタレでストーカー アイスにしか興味なくて 寂しがりのヤンデロイド 私の彼、KAITO。 私以外見るのも許さない アイスなんかなくなっちゃえ 要らないでしょう? 私とカイト、二人だけの世界 「愛してる」 魔法の呪文で縛った所で 何も変わりはしないのに ----- 「…なんて歌詞、良くない?」 きっと、次の曲の構想だろう。 書いたばかりのレポート用紙をヒラヒラさせながら、マスター…雪楽さんは笑った。 悪くはないんだけど、これって… 「病んでますね」 朗読に率直な感想を述べて、レポート用紙を受け取る。 雪楽さんは、俺の感想にまた笑い声を上げた。 そう、最近の彼女は「ヤンデロイト」とやらにハマっているらしい。 ついでに、帯人ではなく、ヤンデレカイトがいいんだとか。 「一度だけやってみたいの。ね、いいでしょう?」 両手を合わせ、上目遣いでお願いする雪楽さんは、正直言って可愛い。 つい許してしまいそう…いや、一度くらいなら、いいかな。 ((どうせ、女性パートも俺なんだろうな…)) 俺のための歌だから、嫌なわけないんだけど。 歌詞自体が誇張表現のオンパレードだから、さすがに心配になってくる。 「アイスがなくなるのは嫌ですよ、俺」 「やだな、わかってるさ」 半分本気で心配するも、雪楽さんにその気はないらしく軽く笑い飛ばされた。 いつも冷凍庫にアイスがあるの、知ってるけど。 こういうの書かれたら、ちょっと本気にするから…!! 「アイスも好きだけど、雪楽さんも大好きです」 「知ってるよ、それくらい」 雪楽さんにおいでおいでされて、俺はガバッと抱きついた。 当たらずも遠からず、な不思議な歌詞が完成する前に。 マスターと半分こしてアイスでも食べようかな。 [*前へ][次へ#] |