重なる事のない不協和音※ヤンデレ注意※ 「愛してる、雪楽」 そう言った直後のためらいに、私は聞かないフリなどできはしなかった。 「俺は、テトから離れられないんだよ。逃れられない」 今更、怒る気にもなれない。 私は、テッドの半身…テトが嫌いだ。 理由は、いつも彼の傍に居るから。 私よりも彼に近い存在だから。 「ねぇ、テッド…私はどうしたらいい?どうしても、好きになんかなれないよ…」 テッドを愛しても、彼の一番はテトに変わりはない。 いくら愛されても…彼女、テトに敵いはしない。 私の奥で、何かドロドロした感情が溢れて止まらない。 「テトと俺は2人で1つ…半端なキメラなんだ。感情だって…そうだ」 「嘘だ!!」 分かってくれ、なんて。 聞きたくもない言葉が続くよりも前に、叫んだ。 「あの子なんか要らない!!私とテッドだけでいいの!!」 かんしゃくを起こした子どものように喚いた。 どうにもならないのに、涙だけが溢れ出す。 「私がテトならいいのに。テッドを独り占めできるなんて許さない!!」 「雪楽…」 「テトなんか、いなくなっちゃえ…!!」 ボロボロと零れる、醜い感情と大粒の涙。 本当は、わかっていた。 テトはテッドで、テッドはテトなのだと。 重なる音は、一つでは成り立たないことも。 私だけじゃない、誰にも邪魔できない絆が、そこにはある。 それが羨ましくて、妬ましくて。 何よりも彼女を憎む理由となった。 「…私が、この手で。殺せば良い…?」 「よせ、雪楽!!」 「テトが居なくなれば、テッドは私だけのもの…」 虚ろな目に映ったのはテッドではなく、女の華奢な手にはおよそ似合わない「鈍器」。 口元に笑みをたたえ、それを手にとった。 死んでしまえばいい、私とテッドの邪魔をする女なんて。 「テッド、大好き…」 --- 物語はここでおしまい。 雪楽もテッドも、そしてテトも。 どうなったのかは、貴女次第… [*前へ][次へ#] |