7000hit御礼SS カレイドスコープ(ハリーポッター) 「融けるぞ」 目の前にあるアイスクリームを眺めたまま手を付けようとしないリリーに、セブルスは一言声をかける。 嬉しそうにアイスクリームの入った器を手にして、自分の座るテーブルの向に彼女が座ったのは何分前だったろうか… 「うん、もう少し。可愛いんだもん」 よく見ると、アイスクリームは花の形に盛られていた。 確かにそれはセブルスが見ても可愛らしく、女の子のリリーが見蕩れるのも無理はないかと納得する。 半分融けかかった所で、漸く手を付けるリリー。 口に運ぶ度に嬉しそうな顔になるのを、セブルスは本を読みながら時折盗み見ていた。 万華鏡のようにくるくると変わる表情は、いつまで見ていても飽きない。 この気持ちを口にしたら、彼女は怒るだろうか。 自分には決してできない、豊かな感情表現。 自分に無いものを持っている人だから好きになったのかと、惹かれた理由のひとつに今更ながら気付く。 「ねぇ、セブルス見て!器の底にも可愛い模様が彫ってあるわ」 くるり、とまた万華鏡が回った。 やっと手に入れた、僕だけの万華鏡。できるなら、ずっとこの手の中に…… end [*前へ] |