6000hit御礼SS 未完成な僕ら(銀魂)
「夕焼けが綺麗アルね、定春」
「わんっ!」
夕陽も沈む頃、散歩に来ていた神楽と定春は河原の土手で一休みしていた。
昼間の日光を浴びる事ができない神楽も、夕陽ならば存分に浴びる事ができる。
大きな犬と小柄な少女の影が、土手に長く伸びていた。
「おい、ガキはそろそろお帰りの時間ですぜィ」
突然、背後から雰囲気をぶち壊す聞き慣れた声。
「出たなサド。その言葉、そのままそっくり熨付けて返すアル」
振り向くと、やはりいたのは沖田で。
「その減らず口、縫ってやりますかィ」
「やれるモンならやってみろアル」
沖田はランチャーを構え、神楽は傘を構える。
2人は、顔を合わせれば何時もこんな調子。
「はい2人共、帰りますよー」
間近で向かい合いいがみ合っていた2人の襟首が、ひょいと掴まれた。
「あ、旦那!」
「銀ちゃん!」
見上げれば銀時で、2人を軽々と持ち上げている。
「沖田君、頓所でこわーい副長さんが探してたぜ」
「あ…頼まれ事したの忘れていやしたぜィ…じゃあ、旦那。失礼しやす。チャイナ!明日こそ決着つけてやりまさぁ!」
沖田はビシッ!と神楽を指差すと、踵を返して走って行った。
「君達、毎日よく飽きないねぇ」
神楽を乗せた定春の横に並んで歩く銀時。
「銀ちゃん、私おかしいアル。サドの事嫌いなのに、毎日会うの嫌じゃないアル。サドの顔見ると、ムカつくのに安心するアル。これ、病気アルか?」
それを聞いて銀時は吹き出す。
「神楽、お前なぁ……まぁ、病気っていやぁ病気か?沖田君なら治せるんじゃねぇ?」
「やっぱり病気アルか?でも何でサドが治せるアルか?」
目を丸くする神楽。
「毎日会ってりゃ、そのうち解るさ。あ、ちなみにその病気な、沖田君にちょくちょく会ってないと悪化するからな」
「な、何でアル?」
「いーのいーの、神楽ちゃんはそのままで!だんだん大人になってきたんだね〜。おじさん嬉しくて泣いちゃうよ」
「もぅ!解んないアル!」
定春の上で考え込む神楽を見て、銀時は更に笑う。
―何時になったら気付くんだか…
まだまだ未完成な、沖田と神楽の恋愛劇。
寂しいような嬉しいような、父親のような心境の銀時だった。
title:徒花様
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