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Novel
まいすうぃーとはにー(微裏【セザルノ】
「ルノワール君、私の考えた新しいアートに協力してくれないか」

そう言われたのが一昨日。
当然僕は断ったが、奴のあまりのしつこさに根負けして、案の定”新しいアート”とやらに付き合うことに。
まあ・・・あいつがここまで熱心に取り組んでいることなので、多少は興味があったと言えなくもない。

そして、今日。
心のカレンダーに印をつけていた日よりもずっと早く、セザンヌは僕に協力を迫った。

「なんだい、随分早いじゃないか。いつも出かける時には亀みたいに遅いくせに」

「ああ、少なくとも君よりはどんくさくないからね」

いつものように嫌味の応酬をしながら、セザンヌの家に向かう。
いつもより声が弾んでいるように聞こえるのは、多分気のせいではない。

「・・・ふん、なんだよ」

少し前を歩く奴に聞こえないように、小さく小さく呟く。

―――僕よりも大事なのかよ、そのアートとやらは。






セザンヌの家に着いて、まずは一服・・・と思いきや、奴は早速準備を始めると言う。
ますます面白くない。

そんなルノワールの心境を知ってか知らずか、いそいそと何かを取り出すセザンヌ。
何を取り出したのかと覗いてみると・・・

・生クリーム
・練乳
・チョコレートシロップ

「・・・セザンヌ?何、これ?」

「ん?何って・・・”新しいアート”に使う物だが?」

「えーと・・・質問を変えよう」

新しいアートって、何?

「何って・・・」

セザンヌはこれでもかというくらいにっこりと笑って、

襟元のリボンをしゅるりと引き抜いた。

「もちろん、君を使ったアートだが?」




「・・・せ、セザンヌっ・・・!!」

なんだか嫌な予感がして逃げ出したものの、あっさりと捕まってしまった後。
これまたあっさりと、ルノワールは上半身を剥かれていた。
しかも、手首にはさっきまでセザンヌの襟でリボン結びになっていたものが結えられている。

逃亡未遂によってかいた汗で扇情的な格好になってしまったルノワールの前には、手にボウルを持ったセザンヌが立ちはだかっていた。
ボウルの中身は、先ほどの生クリーム。
恐らく意図的に泡立てられていないであろうそれは、どろり、とした粘性を持っている。

「・・・大丈夫だよルノワール君。痛いことは何にもないからね・・・」

「痛くなくても怖いものは怖いよ!!」

ゴゴゴゴ、という音が似合いそうなその風貌に、ルノワールは一層身を縮こまらせる。
何をされるのかが分からないのがまた怖い。そのクリームをどう使うつもりなんだ、この変態は。

「じゃあ、そろそろ・・・いいかな」

もとより荒い呼吸をさらにハァハァと荒げ、セザンヌがじりじりと間をつめてくる。

「ひっ・・・!?」

思わず息を呑み、目を固く瞑る。
と、胸元に何かが付着した。
効果音を使って表すならば、どろり、と。
甘い匂いが鼻腔に届く。


目を開けるまでもなく、それは先ほどの生クリームだった。


「・・・やっぱりこーやって使うのか・・・」

あからさまにげんなりとしてセザンヌを見上げる。
何ら緊張感のないその様子に、セザンヌはいささか期待と違ったような顔を覗かせたが、まあいいと嘆息混じりで小さく呟いた。

「そんな顔をしているがね、ルノワール君。キミはもうちょっと自分の見た目に気を配ったほうがいいぞ」

その筋肉の薄い胸に無造作に掛けられた液体は、ルノワールの今の格好と相まって、熱い”なにか”を想像させる。
むっつりなセザンヌの口角が歪められているのを視界に捉えて、ルノワールは今更ながら羞恥心でいっぱいになった。

「ばっ・・・か、この変態!お前のせいでこんなことになってんだろーがっ!」

キッと睨みつけるが、下からなので必然的に上目遣いになってしまう。
そしてそれはセザンヌの性欲的な何かを煽ることにしかならないわけで。

「・・・ルノワール君」

「なんだよっ」

「私は芸術家である前に、ひとりの人間、ひとりの男だ」

「・・・? あぁ、そうだな」

何が言いたいのかがさっぱり見えてこない。

「つまりだ」

「うん?」

「―――アートの前に、欲を満たそうとすることも致し方ないということだ」

考えること、コンマ4秒。

「っはああぁぁあ!?」

理解が追いついた途端に、考えることを放棄しておけばよかったとそれはそれは大変な後悔に襲われたが、自由を奪われた状態で自分よりガタイのいい男から逃げるなど不可能で、ほとんど抵抗もできないままに、相手の満足がいくまでいいように貪られたのだった。





「結局、生クリームしか使わなかったな」

また活用してみるか。

無駄を嫌うセザンヌの呟きにルノワールが戦慄を覚えたのは、また別の話。




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お菓子プレイがやりたかったんです。
見事にすっ転びましたけどね!!

最初はもっとむっつりなセザンヌを書こうと思ったんですよ。
書いてるうちにセザンヌが暴走しちゃっただけなんです。
結果的にすごい速度で走って行って足が引っかかって思いっきりつんのめったあとに顔面強打したような出来になりました。
私はHENTAIなセザンヌしか書けないみたいですw


よろしければおまけもどうぞ・・・
初めてのR-18だよ!!www



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