ぼくのかわいいひと(アレ綱) この子の汗を含んだ項が好きだ、とアレンは、その愛しい塩辛さを感じながら、こっそりと思う。 項だけじゃない。気持ちが悦いと一瞬甲高くなる声も好きだし、東洋人らしく短くて、それでいてしなやかな四肢が悩ましげにシーツの上を這い回る様も、堪らなく好きだ。 可愛らしく両胸の中心で尖っている乳首も、淡いピンクで愛おしい。 小さな臍も波打つ腹部も、ささやかな茂みからぴくぴくと反り返って涙を流している秘芯も、可愛くて可愛くて仕方がない。 とにかくアレンは、今自分の下で甘い声で鳴いている少年の全てが、愛おしくて堪らないのだ。 多分、残念ながらまだお目にかかった事はないけれど、この子のものならばきっと、排泄物まで宝物のように感じるのだろう。 (ツナがおしっことかしてるとこ見てみたいなぁ。絶対殴られるから言わないけど) しかし盲目は盲目なりに、ちゃんと節度ってものを考えているらしい。 散々幼いペニスをいじくって充分濡れそぼった孔に、自分の唾液で濡らした指を入れる。 にゅちゅ、と生温かい中がぬるん、とアレンの中指をブリュレのように包んだのと同時、可愛い嬌声をあげながら少年、綱吉は達した。 きゅんきゅんと指を締め上げながら、ぴゅぴゅ、と精液を飛ばす綱吉の、なんともいじましい事、可憐な事。 思わず腹の上に散った白濁を舐め取ると、「ひゃんっ」と声をあげて腰を揺らした。 アレンのペニスが、どくりと脈打って大きく膨らむ。 ああ、愛しい。 (僕は君が大好きだ) 「あっ、ひぅっあ、あぁっ!そこっダメェッ、やだぁ、あっ!」 指先で奥を突く度、びくびくとしなる矮躯。 好きな子が自分に向かって脚を限界まで開き、恥部をぐしょぐしょに濡らしながら喘ぐ姿なんて、想像しただけで堪らないというのに。 少年の痴態に喉を鳴らしながら中の指をぐるりと回すと、いい具合に前立腺を掠めたらしい綱吉の体が、一度強く跳ねた。 「はぁっ、ぁんっ、ゆび…いやぁ、っ」 「嫌だなんて、嘘つき。僕の指四本もくわえこんでる癖に。中も外もぐちょぐちょだよ、ツナ」 「ひ、ぁあっ、あ…っ!アレ、ン…ッ」 「ね…ツナ、イイ?僕にこうされるの、好きでしょう?ねぇ、」 「あぁ、あん、はっ…すきっ…アレ…好きっ、好きぃっ」 ぐりぐりと一番イイらしい箇所を快ってやれば、びくびくと背を反らして愛らしく液を漏らす。 まだあどけない頬を真っ赤に染めながら、アレンにすべてを委ねている、その様。 辛抱堪らなく達したばかりの震えているペニスに舌を這わすと、綱吉はますます喉を晒し、可愛く鳴いた。 「ひぁぁっ、あっ、あっん、!ダメェ、ゃっ、まだ舐めちゃ、ぁんんっ!」 ちゅぷ、ちゅぷと口に含んで唾液を絡ませれば、それは更に甘くなる。 中をまさぐる手とは違う方の手で脈打つ根元を押さえ付け、唇をすぼめて頭を上下させると、もうダメ、もうダメと繰り返しながら、少年は涙を零した。 アレンは一度小さく弧立するそれから口を離し、付け根に吸い付いて袋を揉む。 忽ち、ずく、と綱吉の硬度が増した。 それを見計らい、中のざらざらした部分をぐちゅぐちゅ掻き回す。 いき過ぎた肉悦についていけないのか、とうとう綱吉は半分意識を飛ばしつつ、真っ赤な唇から唾液を垂らした。 「や、だぁぁ…も…出な、のにぃ…っまたイっちゃ、」 「…もしかしておしっこ出そう?」 「そんな、の、出なぃっ…よ!ああっ、ダメ、ダメ、ゃっ、」 「…そっかぁ…うん、残念」 一瞬「何が?」とでも言いた気な視線を綱吉から送られたけれど、イっていいよ、と疎かになっていたフェラチオを再開すると、忽ち呆気なく、声もなく綱吉は射精した。 「────っ!…ぁ、はぁっ…!」 体を硬直させた後、大きく震えた少年を見つめながら顔を上げ、ちょうど口元に跳ねた薄過ぎる精液を舐める。 その口で荒く呼吸する意識も朦朧とした綱吉に口付けると、涙の膜を張った目に睨まれてしまった。どうやら苦かったらしい。自分が吐き出した物なのに。 「…ま…ずいっ…」 「うん、そうだろうね。でもツナのならいくらでも飲めるんだけどね、僕は」 「……馬鹿っ」 「フフ。…ね、ツナ」 「…ん?」 「もう、僕も欲しい。入れていい?」 体を繋げるようになってから、前フリなしに押し入るような事は一度だってした事がない。 一つになる事を求めた時、真っ赤になって頷くいつまでも生娘のような反応をする少年が、愛しいからだ。 それでなくても大切な存在を、自分の薄汚れた欲望などで傷付けたくないから。 だから心の準備を、アレンはいつも与えてあげている。 いくら場数をふんだからとは言え、男同士のセックスはリスクも伴うし、それにかなり辛いのだ。 受け入れる立場である綱吉が少しでもリラックスできるよう、アレンは必死に自我を抑え、毎回できるだけ手厚く扱っている。 それもこれも全部、綱吉が大切だからだ。好きだからだ。 自分勝手に貪って、嫌われたくないから。呆れられたくないからだ。 それ以上の理由は他にない。 「…好きだよ、ツナ」 我慢に我慢を重ねて痛いくらいに張り詰めている自身を、震える綱吉にあてがう。 「好き」 「…ぁ、っ」 「ツナと一つになりたい。愛してる…っ」 「んっ…ぁ、あっ!」 最も辛いらしい亀頭部分をゆっくり入れ終えると、残りをすべて潜り込ませた。 先端が最奥にたどり着いたのと同時、食いしばった唇に少し荒くキスをする。 噛み締めないよう無理矢理開かせた口の中から、悲鳴が空気となってアレンの中に入ってきた気がした。 何回しても痛むという挿入の衝撃に耐えるように、綱吉の指がアレンの背中を引っ掻く。 緩和を求めるその所作さえ気遣わし気で、まったく痛くないのに少し苛ついた。 それは堪えると言うにはあまりにもあまりにも、可愛らしい抵抗だったから。 「ずっと思ってたんだけどさ」 「え、何?」 「ツナはさ、自分から僕にキスしてくれたり、好きって言ったりしてくれないよね」 日本人の奥ゆかしさは、十分理解してるつもりなんですけどね、と恨みがましいアレンの声が小さく響く、深夜の寝室。 備え付けのランプが二人の白い肩をオレンジ色に染めあげ、煌々と辺りを優しく照らしていた。 綱吉は、何故か拗ねているらしい異国の血を引いた恋人の横顔を見て、まるで母親のようにふふふ、と笑った。 「言ってほしいのー?」 「…そりゃあ…けど、ツナが嫌なら…」 「どうしたのアレン、急に」 「だって…エッチの時もデートの時も、何もしてない時だってツナ何も言ってくれないから…僕ばっかりツナが好きみたいで、何か悲しくなっちゃって…」 いつだって愛の言葉を吐くのもキスするのも自分からで、綱吉の方から求めてきてくれた事なんかない。 自分は何をしている時も一人でいる時も、綱吉の事ばかり、綱吉の好きなとこばかり考えてしまうのに。 こんなに焦がれてしまうのが自分だけみたいで、悔しい。寂しい。 たまには綱吉からも与えてほしい。 たまにでいいから。ちょっとだけ我が儘をきいて。 「…俺だってアレンが大好きだよ」 若干尖らせていた唇に、柔らかい感触。 驚いて隣を見れば、暗がりでも分かる程赤くなった綱吉の顔が間近にあった。 「ツッ…ナ、今…!」 「俺は好きでもない人とこんな事できる程器用な人間じゃないしっ、それに…」 初めて綱吉からキス、してくれた、 「俺馬鹿だから…そういうの言ってもらわなきゃ分からないからさ…。言ってよ、我が儘。俺だってアレンがして欲しい事色々、叶えてあげたいなって思ってるんだよ?」 ね?と愛らしく首をことりと傾いだ恋人。 その仕種の可愛らしい事、可愛らしい事。 だからその言動の可愛らしさに思わず、ずっと溜め込んでおこうと誓った欲望がつい出てしまったのは、 「じゃあ僕の前でおしっこしてくださ」 「さっき口走ってたのはそれかぁ!ってできるかそんな事ぉぉ!」 「いったーっ!ですよねー!すみませんでしたー!」 ご愛嬌。 今度は君からキスしてね fin. [*前へ][次へ#] |