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赤い水槽


どうしようもない
圧迫を求め
水底をたゆたう
見上げるのが好きな人
手中の餌に見向きもせず

見下すまでもなく
青い花
が寄生していた
ぼくや
ぼくに似た人の
皮膚を覆い
優しく締め付けては
飲み込もうとするのだけど
ぼくらが食事をすると
舌に咲いた花は潰れ
ぼくらが夢を見ると
枕に咲いた花は枯れるのだった

どうしようもない
傷の無い腕が
甘い林檎を差し出してきても
つぼみの中で嘲笑い
抵抗する事しか知らない
両手は
自ら離れていき
忘れ去られた
両足は
花の根と化し
同化した
身体は
青空のように水底をたゆたい
誰かの餌となるのだろう

いつしか
ぶら下がったぼくらは
ようやく足をばたつかせ
透明な水を掻くように
浮き上がって消えるのだろうか

あの空を食べてしまえたなら
嵐も起きないと
盲信的に宣い
青い花の意味に気付いていたとしても
赤く染まったぼくらは
既に
紫の夜に包まれ
紛れもなく
この
小さな世界に
寄生しているのだった





































 




  

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