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第一訓08


結局、そのあとなんとか最寄りの港に着いたけど、誰も居なかった

最初の港にみんないるはず…たぶん


なので名前は月仙の拠点に再び来ていた








「ただいま帰りました、師匠」


「ご苦労、で、初仕事は如何だったかな?」


「肉体的、精神的共に最悪だよコノヤロー」


「その分だと中々やりがいねある仕事だったんだな」


からからと笑う金髪を見て、やはり軽い殺意が湧く。

正直やりがいがあるというか、殺りがいのある銀髪だった


今度出会ったら絶対一発殴ってやる。



「ほら、受けとれ名無し君」


ぽいと投げられたのは、通帳と何かの鍵だった



「今回の報酬と、部屋の鍵だ」


「無駄に親切ですね師匠」


「そうだろう、俺は部下には優しいからな」


「不幸を呼び込まなければ最高なんですがね、ホント助かりますマジで、この鍵は有り難く頂戴しときます」


「棒読みで言われても何ら嬉しくないぞ名無し君!」













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ーーー


案内された住所に行って見ると、予想してたのより遥かに大きい、白を基調としたシンプルな外装の一軒家に着いた


「マジか…こんなにでかくていいの?」



鍵を開けて中に入ってみると、綺麗に掃除された玄関が私を迎える

更に奥に進んで行くと、そこそこ広いシャンデリア付きのリビングに、独り暮らしには少し寂しいだだっ広いバスルーム

二階には防音になっている部屋が一つと、そして天蓋付きのキングサイズのベッドが置いてある寝室、それらが個々に異様な存在感を出していた。


『なんでこんなに豪華なの?』


こんなに立派だと姉上達に申し訳ない気が…。


『そういえば、報酬っていくら位なんだろ…って!?

5に0が4つ!?』


田舎にいたときの、約三倍…!


「なんかアレだけのことしかしてないのに、こんなにもらえるなんて、かなり罪悪感感じるわ…」


浅く溜め息を吐いて、通帳を閉じた


「あ、そういえば朝から何にも食べてない!?
…う゛っ、今更ながら腹すいたぁぁぁ」


夜兎(ハーフだけど)の食欲ナメてた

なんか空腹がピークを通り越して、一種の気持ち悪さが…!


名前は通帳を持ち出し、物凄い勢いで家を後にした










―――――――――
――――――
ーーー



「店長、メニューのここからここまで全部ください
あと、デザートは破亜限堕津ストロベリー味の業務用持ってきて!」


「ねーよそんなもん!!!!つーかおめェ、今朝の営業妨害野郎じゃん!今さら何しに来たんだテメーェェェ!!!!」


「飯を食いに来たに決まってるじゃないですか、早く持ってこいや店長」


「何で最後喧嘩腰?おまっ何様のつもり!?」


「ほっといてください、お腹空いてイライラしてるだけですから」



まだ観光の途中だったことに気づいた名前は、仕方なく
“でいにす”に来ていた



それと、クリーニング代を取りにね



「それと店長、あんたの店員のせいで僕の服、一着使えなくなったんだけど、どないしてくれるゆーねん」


「何で最後関西弁!?てかそれ確実に俺悪くないよね?旦那達が勝手にやったこと「みなさーん、聞きましたか!ここの店は自分達の失敗を客のせいにするんですよ、信じられます!?」

…すっませんでしたァァァ!!」



店員は泣きながら厨房の奥に消えていった。

周りの客達はなんとも言えない視線を寄越してくるが、めんどくさいのでシカトしておいた。









だから気付かなかったんだ、
店のガラス越しに見ていた人間に…


「あんなに沢山…お腹、空いたネ…」









(そのあと、何故か注文した量より倍になった料理をタダで美味しくいただきました)

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