[携帯モード] [URL送信]
第一訓05


現在午後四時ジャスト


着替えてきた名前は倉庫が建ち並ぶとある港に来ていた。



「これで女だとバレないよね」

黒みがかった赤い小袖に、袴といった中性的な格好をしている



あの後、着物を探すのは大変だった。


「お客様こちらは如何でしょうか、よくお似合いですよ!」


「いやあの、わた…僕が欲しいのは着物なんですけど、何すかコレ」


出てきたのは所謂ゴスロリ
フリフリした装飾がこれでもかと付いてるヤツ


「是非一度着てみてください。つうか着なさい」


「なんで命令形なんすか!?誰がそんなもん着る〈ドスッ!!〉…スンマセン是非着させて頂きます!」


「あら、ありがとうございますぅ」


店員様はニコォと微笑み、名前にそれを渡した。


『…文句言ったらハンガーが壁にめり込んだよ』


ここの店員様かなり怖いのね


都会ってこんなに強引なのかな(違っ)

結局着せ替え人形にさせられて、とキャーキャー騒がれ続けた。



何でこう、運が無いんだろう…



風で目が滲んでいると、今日の接待相手がこちらにやって来るのが見えた

『どんな奴かと思ったら…カエルか』


蛙(幕府の高官で禽夜とかいったっけ)は私を見て品定めするように眼を細めた。


「よく来たな小童、月仙から話は聞いているぞ。たしか…名無しとかいったな、付いてこい」



どうやら私は名無しと言うなまえになっているらしい。


『馴れないけど、これで通すしかないか…(あと師匠とかいうヤツも)』





――――――――
―――――
ーーー


通された所はこの店で一番高いお座敷のようだ。


「今日は無礼講だ!貴様も飲め」


お猪口にお酒が並々と注がれる


「貴様の師のお陰でワシのビジネスは軌道に乗り始めたのだよ小童!」


「そうですか、それはおめでとうございます」

『どうせろくなビジネスじゃないんでしょうけどね』


酔いが回ったのか、高らかに笑い出す蛙、
その時、二,三人の色っぽいお姉さん(たぶんみんなノーパン)が入ってきた。


「お凛でございます、可愛がってくださいまし」


『うわ、目があったよ…』


慌てて逸らすと、妖艶に微笑まれ、何故か腕を絡ませてきた


「お客様お名前はなんと?」


「…名無し」


「名無し様ですか…いい男でございますねぇ」


さっきよりぐっと距離が縮まる


『…なんかコレやばくない?不味いよ非常にまずいよ!私可愛がるとかそんな趣味ないってェェェ!なにこの接待、まさかのそっち系?そっち系の接待なの!?聞いてないよバカヤロォォォ!!!』



「名無し様、」


「おっおう!」


さっきより彼女の匂いが強くなった気がした


「今宵はわたくしめと」


―今更怖じ気づいたところで遅いゆーねん!!―


「!?声が…」


「名無し様?」


「禽夜様、少し席を外させてもらいます」


私は急いで声のする方に向かった






――――――――
―――――
ーーー


「確かここから」


―これも道場護るためや、我慢しーや!!―


―キャアアアア!!―


バンッ!!!


「貴様何してる」


思い切り襖を開けると、坊っちゃん剃りの天人が女性を押し倒しているところだった


「―っお客様やないですか!?お見苦しいところ、どうもすんませんなァ…」


「その子は私が買う。金は禽夜様に酒代として付けといてくれ」


「しかしですな、まだ修行中の身ィでして…お客様を満足できへんと」


「構わない、下がってくれ」


そう言うと、天人は悔しそうに出ていった


「あの、どうして」


「さあ、只の気まぐれかな」


彼女は驚きと不安の入り交じった何とも言えない視線をこちらに向けていた。


『そりゃ不安だよね、いきなり買うとか…』


「安心して、別に君を取って食ったりするつもりは無いよ」


「あ…ごめんなさい」


「こういうときは“ありがとう”だろ?」


「ふふふ、変な人」


彼女はふわりと笑う
笑顔が似合うね


「あなたの名前を聞いてもいいかしら」


「名無し、君は?」


「私は妙、志村た《ゴゴゴゴゴゴ!》…なにかしら?」

パトカーらしきモノが見えた。提灯には、大江戸警察の文字


『だんだん近づいて来てない?え、何アレ、突っ込む気!?ちょっ、おま、えええ!!』


―ドゴン!!!


そいつはマジで突っ込んできた

…私達のいる部屋に


「なんやァァァ!?何事や!!」


下がっていた坊っちゃん天人と警備の奴等が慌てて駆け付けてくる


「あかんでコレ、パトカーやん!役人が嗅ぎ付けて来よったか!!」


「安心しなァ、コイツはただのレンタカーだ

どーも万事屋でーす」


「姉上ェ!まだパンツははいていますか!!!」


それは見覚えのある銀髪パーマネントと、新八君の姿だった









(ド派手なヒーロー登場ってヤツかな)

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!