第一訓04
「はー、やっと逃げ切れた。ここに来てからろくなことないよ…服牛乳臭いし」
名前は深いため息をついて空を見上げた。晴れ渡った青空に、宇宙船がちらほらとある。
うん、やっぱり実家とは違うね
あと服めっさ臭
『あの銀髪のお兄さん攘夷戦争の時、確か…えーと』
ダメだ思い出せない!
有名な人だった気がするんだけど、何せかなり昔の事だったし…
暫く宛もなく歩いていると、前方から二、三人の黒いスーツを着た人達がこちらに向かってきた。
「名字名前様だな、付いて来てもらう」
「…父様の部下か」
とうとう不幸になるフラグが乱立してきた。
私この町で無事に生きていけるかな
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ーーー
案内されたのはだだっ広い洋風の豪邸、所謂うん十回建ての立派なビルだった。
その最上階、これまた豪華な珍しい円形の部屋。
全面にガラス張りが施され、清潔感溢れる青いカーペットが違和感なく敷かれている。
その中央にこれでもかと存在を強調しているデスクが一つ
そして着流しを来た金髪の男が一人
「…で、何の用ですか疫病神」
「久しぶりに会ったというのに、絶賛反抗期中とはつれないねぇ。昔はあんなに可愛いげがあったのに」
ケラケラと笑う金髪に少しだけ殺意がわいた。
この人は月仙、一応私の父親
幕府の高官らしいんだけど、よいよ性格が悪くてね
何度も言うけど、父様に関わってきて、いいことなんてひとつもなかった
むしろ不幸になってる気がする
父様を嫌ってる幕府の人から始末屋を送り込まれた事もあったし(しかもその時丁度父様が留守にしてたから、私が相手をさせられるはめになった)
父様の娘ということで、誘拐されそうになった事もある(なんとか逃げたけど)
挙げればキリがない。
更に質が悪いことに、父様はそれを面白がっているということだ。
(マジあり得ないよ…)
とんだ疫病神…いや、疫病天人だった
「単刀直入に言う。私の代役になってもらいたい」
「代役?一体何の」
「私が幕府関係者であることは知ってるな」
「…」
「そう固くなるな。お前には幕府の会合や貿易、所謂ビジネスに関する仕事の手続き等をしてもらいたいんだよ」
「…スッゴイメンドクサインデスガ」
「安心しろ、心配しなくても給料はちゃんとくれてやるし、最低限の生活は保証するさ。…それと、お前にはもう一つ条件を飲んでもらうことになるが…あ、ちなみに拒否権はないぞ―」
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ーーー
『まさか、実の娘に男になれとは…』
ビルを背に、名前は呉服屋に向かっていた。
月仙が出してきた条件は二つ、
1・父と呼ばないこと
2・性別を偽ること
一つ目はなんとでもなるとしよう。(清々すると言ってやったら、露骨に寂しそうにしてやがったのでとても気持ち悪かった)
二つ目はなんだ二つ目は!
ふざけんじゃないよ
何処のイケメンパラ●イスだよ…
とにかく、既に新八君や銀髪パーマネントさんには見られてるわけだ。
そこから一体どうやって誤魔化そうか…
幸いなことに名前は声が低かった(アルト位だけど)後は体格と、胸(平均くらいはある…はず)を隠すぐらいでとりあえずは大丈夫だろう。
『とりあえず着替えなきゃ、それから港に行こう』
「あぁもう、早速仕事を寄越すなんてマジないわ…」
幕府の役人(天人らしい)とか何とかの接待を受けなければいけないらしい
場所は新しくできた空飛ぶ遊郭
『遊郭に行くなんて人生で二度目だ…しかもノーパンしゃぶしゃぶとか、めっさ趣味悪い』
何が悲しくて女が遊郭に行かなくてはならんのだ!
(拝啓姉上、
既に胃が痛くて堪りません)
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