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第一訓02




「すごい…たくさんの人と物で溢れかえってる」


田舎での暮らしが長かった名前は、まるで初めての修学旅行並に年甲斐もなくはしゃいでいた
所謂お上りさん状態である。


先程までの様子と打って変わってご機嫌な名前は、キョロキョロと物珍しさと好奇心の入り交じったなんとも言えない勢いで歌舞伎町の町並みを散策していた。


暫くそうしていると、いつの間にかじわりと空腹が名前を満たしていた。


「そういえば何も食べてなかったんだっけ」



急遽手頃な店を探していると、『でいにす』という看板が目に入った








―――――――――
――――――
ーーー


ガラガラ―


「こんに『てめェェェ、まだ剣ひきずってんのかァ!!』…ちは」


ガツっという打音が聞こえてきたと思ったら、突然目の前に少年が倒れてきた。


「侍も剣ももうとっくに滅んだんだよ!!テメーはいつまで侍気取りです…か?」


「…そのくらいにしてやりなよおじさん」


「ーっお客さん!これはお見苦しいところを…」


髷を短く切った眼鏡のおじさんが(店長だと思われる)頭を下げる


「いや私は構わないけどさ、少年を殴るのはどうかと」


「そうだぜ店長、オイ少年、レジはいいから牛乳頼む」


今度は西洋風の制服を着た天人、確か茶斗蘭星人の男が言った

…こいつら柄悪いな(いや豹柄の事じやないよ)


「旦那方ァ、甘やかしてもらっちゃ困りまさァ」


「いや、そこのちっこいのの言うとうりだぜェ。最近の侍を見てるとなんだか哀れでなァ」


豹の天人さんは名前をちらりと一瞥して続けた。


「我々が地球<ここ>に来たばかりの頃は事あるごとに突っかかってきたのによォ」


懐かしむように話す天人をとりあえずシカトして適当な席に座る事にした。



…しまった何処も先客いるじゃん




「あの、相席してもいいですか?」


「ん?ああ、構わねーぜ」


ふわふわな銀髪パーマネントのお兄さんが、死んだ魚の様な目で至極ダルそうに答えた

テーブルには食べかけのチョコレートパプェが置いてある。


(あれ、銀髪に死んだ魚の目ってどこかで見たような?)


どことなく見覚えのあるお兄さんについて記憶を漁っていると、さっき殴られていた少年が、慣れない手つきで水と牛乳をこちらに運んで来るのが見えた。



「最近は喧嘩友達なくしたようで寂しくてな」


ドガシャン!!!



「ついちょっかい出したくなるんだよ」


「「あ……私(俺)の」」


天人が突き出した足に少年がつまずき、コップが見事にぶち当たりチョコレートパプェが机に全て零れ、

更に牛乳と水が私のお気に入りの一張羅にクリーンヒット。



「「………」」



凍てつくほどの嫌な沈黙が、二人に流れる



―ブチッ!!



『『ふざけんじゃねェよォ…!!』』








(例えるなら偶然、形容するなら運命。
それはお兄さんと私の思考が一致した音だった)

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