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第三訓01


とある晴れた土曜日、からっと抜けるような気持ちの良い朝、

爽やかな風が江戸の町を吹き抜け、絶好の散歩日和の今日は人々の心も清々しくさる


しかし名前の心情はは今日の天気と丸っきり正反対であった。
















『何でヤのつく自由業の方達の抗争なんかに行かなきゃいけないのさ…いくらこの前皇子のペット始末したからって、あんまりだよちくしょー』




昨日の夜、疫病神から仕事の連絡を受けた


ヤクザの抗争に立ち会ってこい、といった非常に恐ろしい内容である



「何だっけ、版血派亞魔組(パンチパーマぐみ)?読みづらいうえに奇抜な名前だな…」



とにかく厄介事だけはしたくなかったのに、あの騒動以来どんどんハードな仕事を回され、現在名前は幼い頃みたく命の綱渡り状態であった






「結局皇子には他の飼いやすいペットを寄越して機嫌直してもらったんだからさぁ、こんなに仕事回さなくてもいいじゃんよ…!」



きっと父様なりの処罰なんだろうけど、ヤクザの抗争に関われとか余りにもひどすぎやしない?


私これでもか弱い乙女なんだよ?

夜兎のハーフだけど
















―――――――――
――――――
ーーー



「もしもし、疫病神?今例の工場に着いたんだが、誰もいないとかどういうことだゴルァ」



『名無し君、もう少しその汚い言葉何とかならんのか、

で、誰もいない?そうだな取り合えずジャンプを買ってくるついでに、捜してきてくれたまえ』



「あのさジャンプ買ってくるついでってどういう事ですか、何故僕がパシられなきゃいかんのですか、僕はアンタの使い走りじゃねーぞコラふざけんなじぶんで買えや」



『噛まずに言えたことは褒めてやろう(笑)
…その分の労働は報酬に上乗せしようと思ったんだが』



「仕方ないんで小遣い稼ぎに行ってやりますよ、あと(笑)ってなんだよ(笑)って!!」



『赤マル買ってきたら容赦無く減俸するからな!!赤マルじゃないぞ少年ジャンプだからな、絶対間違えるなよ分かったな!!!!』



ブチッっと通話終了の合図



「……赤マルになんか嫌な思いででもあったのかな」



名前はジャンプを探すことにした
















―――――――――
――――――
ーーー



「すいません、少年ジャンプ置いてますか?」



一体何度同じ言葉を繰り返しただろうか


先程からありとあらゆる書店やコンビニを回っているのだが、未だお目当ての品にたどり着けずにいた



「赤マルなら在りますよ」



この答えもお決まりになってきつつある



「あぁもうどんだけ売れてんだよ!!何で赤マルじゃダメなんだよォォォ!!!!」



「それはな坊主、赤マルとジャンプは全くの別物だからだ」



「………………誰?」



急に話しかけてきたのは、顎髭を蓄え、目元まで伸びた栗色の髪に忍装束を着たおっさんだった


…いい歳こいて真っ昼間っからコスプレですか、いいご身分ですね。恥ずかしくないのかな…まぁコレがオシャレだと思ってるんだよね、仕方ないよね、もうどうしようもないんだよね、可哀想なおっさんだなぁ




「オイ坊主全部口に出してるぞ、俺をイタいコスプレ野郎にすんじゃねぇ!!俺は只のしがないジャンプ愛読家だ

まぁいいから聞いてけよ…赤マルは新人の読み切りとかが掲載されててな、ジャンプには連載もの、すなわちジャンプ系列の中でも少年ジャンプはメインディッシュみたいなもんなんだ」



「質問の答えになってねーよ。つーかなに、あんたジャンプの回し者なの?それともニート?」



「まぁそんなもんだ、とにかくジャンプ頼まれてんならきちんと少年ジャンプを買えよ」



「認めちゃったよこの人!、まぁコレ一応仕事だからね…って何でアンタがしってんの!?」



急に絡まれたと思ったら、私の仕事内容知ってるって…まさか正真正銘のストーカー?



「僕、ストーカーとは関わらないようにしてるんで

じゃっ!」



「待て待てまて!!誰がストーカーだ!つーかさっきから失礼だなオイ」



「失礼なのは元からなんで絶対謝りません。

…胡散臭い服着た奴がいきなり話しかけてきて、しかも仕事内容の事知ってるとか100%ストーカーじゃんキメェ」



「いやアンタこそ認めちゃダメだろ!!だいたいコレはれっきとした忍装束だからね、俺の仕事着だから!

アンタの仕事内容知ってんのもたまたま倉庫裏を通りかかったからだよ」



こいつの話を聞く限りどうやら本物の忍者みたいだ、信じたくないけど

ていうかまだ忍って職業まだあったんだね、ていうかこのご時世それでどうやって生活してんだろ?


「何それ盗聴じゃん、歴とした犯罪じゃんそれ、何してくれてんのさマジで

そうだ、プライバシーの侵害で訴えられたくなかったら今すぐ手に持っているジャンプを僕に差し出すか、ジャンプ売ってる店教えてよ」



「プライバシーって、あんな大声で話してたら誰だって聞こえるわ!!プライバシーを守りたかったらなァ、それ相応の」



バキッ!!!!




グダグダうるさかったので脅し程度に近くの壁を殴ったら、思いの外強かったらしく新しそうな白いコンクリート壁にミシミシと罅が縦に入っていた。



ヤベー、やり過ぎちった☆



「おいィィィ!!坊主何してくれちゃってんの!?しかもキャラ変わってるからね、アンタそんなキャラじゃなかっただろ!!!!」



心なしか顔色の悪い忍者、ていうかこの程度で顔色変えるなんてまだまだだね





「ごちゃごちゃうるせーですよおっさん、殴られたくなきゃ早く選択しやがってください」



「……軽く殺人宣言じゃねーか、あとキャラ全然戻ってねェから」





























(とりあえず店を聞き出すことに成功しました。アレ、作文?)

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あきゅろす。
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