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第二訓02



妙さんとお昼に行こうと思った矢先、突然謀ったかのように私の携帯が鳴った





「ちょっと失礼、もしもし…何だ疫病神かよ」



『日に日に俺に対してアグレッシブになってないか?
今から央国星のハタ皇子のペット、ペスとか言うやつを無傷で捕まえてこいと、上からお達しがあった。今動ける奴がいないから、行ってこい名無し君』



「えぇ…やだなあ」



『今すぐあの家から出てってもらって構わないのだが?』



「嘘だって、今すぐいきます」



それだけ言うと、ぷちりと携帯を切った。



「あら、大丈夫?
何か予定でも入ったのかしら?」



「いや、大した用じゃ無いから大丈夫だ。

少し遅れるかも知れないけど、12時頃、バトルロイヤルホストで落ち合おう!」




妙さんに別れを告げて、私はペスとかいう奴の元に急いだ。













―――――――――
――――――
ーーー



「おーい、ペスーさっさと出てこいやー、今出てきたらミンチにはしないからさー、だから出てこいやー」



妙さんと別れてから、かれこれ15分、名前はペスが通った後を進みながら、微塵もやる気の感じられない様子で捜続けている。


しかしまぁ、あんなでかい図体をしている癖に、この短時間でよく逃げたもんだ、と感心していると、桜というホテルの前に来ていた




「ペスの野郎は此処に居るみたいだね…やだなぁ、ここ師匠と同じ不幸になる臭いがする」




「ん?そちは先程頼んだ幕府の者かのォ」



「そうですが…えと、パタ皇子であらせられますか?」



「惜しい!微妙に違う!!
余はハタじゃ…まぁバカと言わなかっただけ良しとしようぞ」



それは頭に千切りやすそうな触角を携え、時代錯誤…いや、バカ皇子感をふんだんにあしらった坊っちゃんスタイルに、全身が薄紫色のずんぐりむっくりの天人だった。

ちなみに右手には仔猫が抱えられている



なんか坊っちゃんがつくもの多くない?




「で、パタポン、ペスってタコみたいなえいりあんのことです?」



「急に馴れ馴れしいなオイ!!
ペスはえいりあんではない、余の家族ぞ!!」



「すーんそうなんだ、じゃあ家族の面倒は家族でみてよね」



「余をおいて何処へいく!!つべこべ言わんと早よう捕まえるのじゃ」



全くワガママな皇子だな、自分の家族の面倒くらい自分で見ろっつーの


コレじゃ埒があかないなと思っていると、私たちのすぐ近くに黒い高級車、リムジンが停まった。




「今度は誰だ…って、あのときの銀髪パーマネントォ!!」



なんと出てきたのは、グラサンのオッサンと新八君、
そして、銀髪パーマネント野郎














「あれ、あんた何でここにいんの?つうか平日の真っ昼間っから会うなんて奇遇だねー、
なにお宅リストラでもされたの?

ぷぷっ、カワイソォー」



「なあ新パッチ君、どうして君がこれなんかと一緒にいるんだ?」



「新八です。
ドン●ッチみたいな言い方やめてください、

…まぁちょっと深い事情がありまして、かくかくしかじかの」



「ちょっ、お兄さんがせっかく話しかけてやったのに、無視とか何様だテメー等!!
あとナチュラルに流すなよ!こっちが恥ずかしいだろうが!!!!」



「うるさい銀髪パーマネント、貴様に用はない。

速攻失せろ!!」



「はっ嫌だね!!
俺だっててめぇなんかに用なんてねーし?それに俺達は仕事に来たの、お宅みたいに遊びに来たわけじゃねーんだよコノヤロォ!!!!」


「さっきからごちゃごちゃうるせーよテメー等!!さっさと仕事しろやァァァ!!!!」




不毛な争いをしていた私たちを、溜まりかねたようにグラサンが怒鳴ってきた



『おいオッサン、何であいつが此処に居るんだよ、聞いてねーよ!!』


『文句言うなよ!俺が呼んだわけじゃねーし!!』



「銀さん…あんたもういい歳なんだから、少しはがまんしてくださいよ」




コソコソと後ろを向いて話すおっさん達に新八君は呆れ返ったような視線を送り溜め息を吐く



君の気持ちはよく分かるよ!




「…でお役人さん、ペスを無傷で捕まえれば良いんだっけ?」



「あぁ一応そうだが…あんたは誰に呼ばれたんだ?」


「聞いてませんか、僕は幕府に依頼されて来た者です」



情報伝達が上手くいってないようで、私とグラサンの間に微妙な空気が漂う


いや私悪いことしてないよね?














「まぁ良いか…人手は多い方が助かるしな

聞いていると思うが、俺は入国監理局の長谷川泰三だ」



「僕は月仙の部下の名無し、宜しく」



「あんたがあの…!あんたとは長い付き合いになりそうだなァ」



取り合えず幕府関係者とあらば嫌でも今後深く関わることになるので、友好の印として握手しておいた















「あれ、田中さんって幕府の役人だったんですか!?」


「いや役人ではないよ、何て言うか…代理人的な?」



そういえば話してなかったっけ?と言えば新八君は言葉が見付からないのか、煮え切らない表情でこちらに視線を向ける


なんか不味いこと言ったかな…と若干焦っていると、パーマネントが気だるそうに長谷川さんの方をみて表情とは真逆の至って真面目な口調で言った


「こいつがノーパンしゃぶしゃぶみてェな遊郭にいた時点でそうじゃねェかと思ったが、まさかその通りだったとはな
…こんなガキにまで汚ねー仕事やらせるたァ、幕府も落ちたもんだぜ」



「………………」





















まさか心配して言ってくれた?

…いやたぶん違うんだろう



けど、そうだとしても誰かから心配されるなんて何年ぶりだろうか


懐かしさと切ない暖かさに頬が緩みそうになるが、少しでも表情や態度に出せば自意識過剰だと思われかねないので、ここはポーカーフェイスを押し通す














「心配ない、大したことはやっていない、それより今はこの人数でどうやって捕獲するか考えよう」



「あ…すみません、そういえばペスって猫か何かの名前なんですかね?」



「…つーかペット位そっちだけで解決できるだろ」


無理やり話を変えると、二人ともまだなにか言いたそうにしていた

まあ、仕方ないよねコレばっかりは



「いやそれがダメなんだ、だってペットっつっても…!!」



「おぉーペスじゃ!ペスが余の元に帰ってきてくれたぞよ!!」



皇子の驚喜を合図に、あの時のタコえいりあんが大きな地鳴りと共に姿を現した






















(まだ作戦も練られていないのに…)

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あきゅろす。
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