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side:瑠衣







「おい、金城!」

「あ?」


夜も更けてきた頃。
チームの溜まり場から家へ帰る途中、知らない男達に囲まれた。

数は五人。


俺に声をかけてきた奴は何となく見覚えがある。

だが名前は思い出せねー。


「誰だっけ?」

「テメェ、ナメてんのか!お前にやられた借りを返しにきたぜ!」


どうやら俺に恨みがあるらしい。
こっちは全く身に覚えがないっつーのに。


こういうことは少なくない。

俺は目つきが悪いせいか、よくガラの悪い奴らにからまれる。

大人しくやられるほどバカでもねーし、殴られる前に殴ってたらどんどん敵が増えてった。
それと同時に、弟子にしてほしいと言ってくる奴らも増え、今では一つのチームとなっている。

意図して総長になったわけじゃねーけど、お陰で下手に手をだしてくる奴らは少なくなった。



「覚悟しろ金城」


まぁ、たまにこうして例外がいるが。
まじ面倒くせー。


見るからにヘボい五人で俺をやれると思ってんのかよ。



ホント、面倒くせー。


「覚悟するんのはテメェらだ」




闇夜の中、最後に残ったのは地に伏した五人の姿だった―――。








家に帰ると、珍しく灯りがついていた。


親父まだ起きてんのか?


こんな時間に顔を合わせたらまたネチネチと小言を言われそうだ、と憂鬱な気持ちでリビングに顔を出す。


親父はソファーで雑誌を読んでいて、俺に気付くと顔をあげた。



「おかえり。お前にちょっと話しがあるんだ。こっちに座りなさい」


ほらきた、と予想通りの反応に溜め息を吐いて仕方なく親父の向かいに腰を下ろした。


マジだりぃー…。


親父は俺を見据えると、妙に神妙な顔つきで言った。


「明日、うちに新しい家族が来る」

「は?意味わかんねーんだけど」

説教されるとばかり思っていたのに、新しい家族?なんだそれ。
親父隠し子でもいたのか?


「言う機会が中々なかったが、再婚することになったんだ」

「あっそ、で?俺に何の関係があるんだ?」


親父が誰と再婚しよーと全く興味がない。

小言を言う奴が増えるのだけはマジ勘弁だがな。


「その人にも息子がいるんだよ。だからお前とは兄弟になるってわけ。それで、明日からその子がここで暮らすことになったから」


親父はそれだけ告げると、おやすみと言って部屋へと入って行った。


……兄弟、だと?

そんなもん、どうでもいい。


舌打ちをし、苛々しながら俺も自室へと入った。





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