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「忙しいですね、ご苦労様です。次の帰国はいつになりますか?」
「んー、わからないけど、みーちゃんに会いたくなったら帰って来ちゃう♪」
「いけませんよ!きっちり仕事はこなしてから帰って来て下さいね?」
「わかってるわよ〜!あ、あともう一つ大事なことがあるの。あのね、―――」
母から言われたのは、
『少し早いけど、先に新しい家族と一緒に暮らしてて☆』
でした―――。
そして、今に至るというわけです。
僕はエントランス内にいた、警備員さんに事情を説明して中へと入れてもらいました。
事前に話を通しておいてくれたらしく、すんなり入れてくれたことにホッとして、僕はエレベーターへと乗り込みました。
このマンションは常時警備員が立っているらしく、マンション内至るところにカメラがついていて、防犯は完璧なようです。
地上25階立ての最上階、そこのワンフロア全体がこれから僕が家族となる人達が住んでる場所。
チン、という電子音と共に扉が開くと、そこはもう室内の玄関のような造りになっていました。
「ごめんくださーい…」
「はーい」
インターホンもないので控え目に声をかけると、奥から穏和そうな男性が出てきました。
僕の姿に目をとめると、とても温かな笑みを浮かべ「いらっしゃい」と出迎えてくれました。
背も高く、スマートで大人の色香漂う素敵な方です…
もしかしてこの人が…
「初めまして、だね。僕は金城達也。好きなように呼んでくれて構わないよ」
やっぱり。
この人が…僕の新しい父さんみたいです。
「結城美咲です。これからお世話になります」
「お世話だなんて…これからは家族になるんだから、そんなに畏まらなくてもいいんだよ。ささ、あがって」
「はい、お邪魔します」
「今日から君の家でもあるんだから、お邪魔しますもなし。ね?」
達也さんはそう言って僕の頭を優しく撫でました。
何だか恥ずかしいです…
達也さんについて行くと、広いリビングのような場所へと出ました。
奥にはキッチン、そのもっと奥にはたくさんのお部屋が見えます。
家の広さが瞬時に窺い知れました。
「あ、そうだ。弘美に聞いてると思うけど、僕にも君と同い年の息子がいてね。さっそく紹介するね」
「え、」
母さんからは再婚のことと、今日からここに住むということしか聞いていませんけど…
えっと、達也さんの息子だから僕とは兄弟になるってことですよね?
母さんてばなんでそんな大事なこと言い忘れてるんですか!
「瑠衣ー!」
達也さんは僕の兄か弟になる人の名前を呼びました。
一人っ子の僕はずっと兄弟のいる家庭に憧れていたので、ちょっと驚きはしましたがとても嬉しいです。
どんな人なんでしょう…
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