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美咲(プラス一名)の邪魔になんねー様、自分のと高梨のコーヒーを受け取り俺は自室に入った。
「相変わらず瑠衣の部屋って何もないよねぇ〜つまんな〜い☆」
「だったら帰れ今すぐ帰れ」
高梨は我が物顔でベッドに横たわりながら、ブツクサとそんな文句を垂れてきた。
俺は適当に返し、手近にあった雑誌を広げソファーに座り美咲のいれたコーヒーを啜った。
「ねぇねぇルンルン〜」
足をパタつかせ構ってほしいオーラをだす高梨の存在を完璧無視に入った俺は一切顔色を変えず目は雑誌に向けられたまま。
だがそんな態度にもお構い無しに、高梨は続けた。
「ルンルンてさぁ、ミチャのこと好きでしょ?」
「ッ、!!」
思わずコーヒーを吹きそうになる。
いきなり何言いだすんだこいつは。
「んなわけねーだろ。血ー繋がってなくても一応兄弟だぞ。しかも美咲はあれでも同じ男だ。ありえねー」
学園の悪習に染まった奴らならまだ知らず。
俺が同性に対して恋愛感情を抱いたことなんか一度もねー。
確かに美咲を可愛いと思うことはあるが…
それは身内としてっつーか、顔は誰が見ても可愛いと思わせる面してっし。
「本当かなぁ〜?」
高梨がニヤニヤしながら横目で疑わしい視線を向けてくる。
雑誌を奴の顔面に投げつけてやりたい。
「何がだよ」
「だってさぁ、瑠衣が今まで誰かに執着することってなかったし〜。身内にしてもだよ。瑠衣ならいきなり出来た兄弟なんて存在、面倒だって相手しなそーなのに。ミチャに対してはやけに優しいじゃな〜い?」
ペラペラと自分の推測を述べていく高梨に、俺は何の言葉もでなかった。
それは…のあとが続かない。
確かに高梨が言うように、最初親父に聞かされたときは面倒くせーなと思っていた。
「…俺、美咲に対して優しくした覚えなんてねーけど」
「無意識だからでしょ〜。瑠衣がミチャを見る目って、なんかちょーいやらしいんだよぉ〜――イタッ!」
俺は手にしていた雑誌を高梨目掛けて投げつけた。
いやらしいって、まるで俺が変態みたいじゃねーか。
断じてそんな目で美咲を見たことなんかない。
「もぉ〜お鼻直撃したよぉ。」
高梨は少し赤くなった鼻を擦った。
「テメーが変なこと言うからだろ」
「わかったぁ〜。もう言わないよっ。でもさぁ、ボヤボヤしてたらミチャ可愛いし優しいし、誰かに取られちゃうぞぉ☆」
「あ?誰かにって、誰にだよ」
高梨は例えば〜と言って、人差し指で自分をさした。
カッと、頭に血がのぼる。
「――美咲に手をだしたら、許さねー」
唸るように低く言えば、高梨は一呼吸おいたあとクスクスと笑った。
「冗談だよ〜。俺は太一命だも〜ん☆でもさ、ミチャだってお年頃なんだし、恋人が出来てもおかしくないわけじゃな〜い?――瑠衣、そうなったらどうする?」
美咲に恋人…それは現実に起こりうる話し。
俺の知らねー奴と笑いながら肩を並べて歩く美咲が浮かんで、すぐに打ち消した。
美咲は…
「俺のもんだ。誰にも渡さねーよ。」
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