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side:美咲







瑠衣に無理を言ってブラックスターの人達と会ってみて、僕が想像していた怖い集団ではないことがわかりました。

最初は赤だったり金だったり、派手な髪の人がたくさんいて驚きましたが、太一に付き添ってもらいながら話してみると皆いい人達で…

瑠衣を少しでも暴力集団のボスだと思ってしまった自分が恥ずかしいです…。



そんな昨日の夜のことを思い出していると――。



「おはよ、美咲くん」

「おはようございます、達也さん」

朝食を作る僕にカウンターに身を乗り出した達也さんは、何やら機嫌が良さそうで鼻歌を奏でていました。


「今日は何だか嬉しそうですね?」

「うん、だって久しぶりに弘美と会えるからね」


あぁ、そうか。
新婚ですもんね。


出張に行く前、長期になると言っていたのに三日で一時的であっても帰宅しようと決めたのは、きっと母さんも達也さんのことが恋しくなったからでしょう。


「そう言えば、式はあげないんですか?」

「んー、お互い二度目だしね。もちろん弘美が挙げたいと言えばそうするつもりだけど」


ニコニコと幸せそうに笑う達也さんに僕もつられて微笑していると、寝ぼけ眼の瑠衣が欠伸をしながらリビングにやって来ました。


「あ、瑠衣おはよう」

「はよ」

瑠衣は僕が皿に盛り付けを終えた朝食を何も言わずテーブルへと運んでくれました。

瑠衣は然り気無く優しいですね。


「昨日は帰ってくるのが随分遅かったな」

椅子に座りボーッとしている瑠衣に、厳しい調子で言った達也さん。


嫌な予感がします…。


「あ?テメェには関係ねーだろ」

「親として関係なくはないが、僕が言ってるのはお前の夜遊びに美咲くんを巻き込むなってことだ」


バチバチと火花を散らす二人に僕は慌てて仲裁に入りました。

全くこの二人は…


「達也さん、瑠衣は悪くないんです。僕が行きたいって言ったんです」

「…美咲くんが?」

達也さんは信じられないといった風に眉を潜めました。

「はい…瑠衣の“友達たち”と会ってみたくて…」


さすがに暴走族のメンバーとは言えずオブラートに包んで言うと、達也さんは少し納得いかないような顔つきをしましたが「わかった」と言って瑠衣に顔を向けました。


「美咲くんを危険な目に遇わせるなよ」

「言われなくてもさせっかよ」


ツンッと顔を背けた瑠衣に、達也さんはコロリと表情を変えてニヤリと怪しげな笑みを浮かべました。


「あー、そう言えばお前の部屋でこんな物を見つけたんだが」

達也さんが手からパッと出してきたのは、なぜか僕の――roseの写真集でした。
「テメェ!」

瑠衣はそれに一瞬目を剥くと、目にも止まらぬ早さで達也さんの手から奪いとりました。

「勝手に人の部屋入んじゃねーよ変態!」

「変態はどっちかな〜?」
「ざけんな!」

「瑠衣落ち着いてくださいっ」

達也さんを睨み付け今にも掴みかかっていきそうな勢いの瑠衣に、危険を察知した僕は達也さんを向かいに座らせました。


距離が離れたことで、いきり立っていた瑠衣も落ち着きを取り戻してくれたようです。


「瑠衣、僕の写真集買ってくれてありがとうございます。嬉しいです」


瑠衣の横に座りながら笑顔を向けると、ボンッと顔を赤くさせた瑠衣は顔を隠すように俯きました。


「え〜美咲くんがroseだってこと瑠衣に言っちゃったの?二人きりの秘密にしたかったのになぁ」

「クソ親父!知ってて黙ってたのか!」





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あきゅろす。
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