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嬉しさに顔は緩みっぱなしで、でも瑠衣とは他人のフリをすると決めた以上話かけることもできなくて、僕は外に視線を向けている瑠衣を一瞥して席に着きました。


暫くしてSHRが終わり三橋先生が足早に教室を出て行くと、隣の席に座る生徒が立ち上がって僕に話し掛けてきました。


「やっぽ〜☆俺、高梨藍斗って言うんだ〜アイちゃんでもアイトッチでも好きなように呼んでちょ〜」

オレンジ色の目を引く派手な髪型に、耳に無数に空けられたピアスに少し驚きました。

「宜しくお願いします。美咲って呼んで下さい…高梨くん」

「イヤ〜ン☆藍ちゃんて呼・ん・でぇ」

「え、藍ちゃん…?」

「うんおっけぇ。ミチャかわゆい〜」


ミチャって、もしかして僕のことでしょうか?


僕が今まで関わったことがない変わったタイプの藍ちゃんに戸惑っていると、後ろに座ってる瑠衣が椅子を引く音が聞こえました。

振り返ると、なぜか瑠衣はもの凄い形相で藍ちゃんを睨み付けていました。

「うっわ〜☆ルンルンたらそんな怖い顔しないでよぉ」

別段気にした様子もなく、平然とした様子の藍ちゃんは瑠衣の元まで軽やかに行くと肩を組み「俺たち仲良しさんでしょ〜?」と瑠衣の頬をツンツンとつつきました。

もの凄い早さで振り払われてましたが。


「ルンルンたら本当照れ屋さんだ〜ねぇ」

「うるせーだまれ」

二人の様子から仲が良いのか悪いのか判断出来なかった僕は思いきって聞いてみることにしました。


「二人は友達ですか?」

「うんっ」
「違う」


…やっぱりわからないです。


それから何やら耳打ちし始めた二人に邪魔しちゃ悪いと思った僕は前に向き直りました。

すると、前の席の人が振り返り僕に手を差し出しました。


「神崎太一、よろしくなっ!」

そう元気に挨拶をしてきた神崎くんに、僕も笑顔で返し手を握りました。

「よろしくね、結城美咲です」

神崎くんは人懐っこい雰囲気に、笑った顔が何だか幼くってぴょこんと跳ねた髪も相まって、何だか可愛らしい人です。

「おうっ!美咲って呼んでいいか?俺のことは太一でいいぜ」

「はい、じゃあ太一って呼びますね」


そんな和やかなムードの中、先ほどまでチラチラとこちらの様子を伺っていたクラスメイト達がこぞって集まってきました。


「結城くんて彼氏か彼女いる〜?」
「うわっ睫毛ちょー長いねぇ」
「どこに住んでんの!?」
「好きなタイプ教えてっ!」

瞬く間に取り囲まれ、質問攻め。
太一は押し退けられこちらからは全く見えなくなってしまいました。


いきなりの状況に驚いたものの、話しかけてくれた友好的なクラスメイト達に対し僕は一つ一つ質問に答えていきました。


「えっと、彼女はいません」

「マジ!?じゃあ俺立候補しちゃおっかなぁ」
「俺も俺も!」
「おいお前ら抜け駆けしてんじゃねーよっ!」

「え?どういうことですか?」

「あ、もしかして結城くんノンケ?」
「転校生だしなぁ」
「ま、ここに通ってれば染まっていくよ、きっと」


ノンケってなんだろうと思っていると、一人のクラスメイトの腕が僕の顔に伸びてきました。


「ねぇ、すっごい綺麗な肌してんね?」


その手が触れるか触れないかの寸前、教室内に突如轟音が響き渡りました。



ドッゴォオオーン・・!!






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