side:瑠衣
PPP・・・
風呂から出て部屋で寛いでいると、デスクの上で震える携帯が着信を知らせた。
ディスプレイを見れば『高梨』の文字。
シカトしようか迷って、10コール目で仕方なくでた。
相変わらずしつこい奴だ。
「何だよ」
『やっぽ〜☆ルンルン何してんの〜?』
「誰がルンルンだ気持ち悪りーんだよ」
『まぁまぁ、俺と瑠衣の仲じゃんか〜。ねぇ、暇ならいつもんとこに皆来てるから〜おいでよぉ☆』
「今日は行く気しねー。」
会話をしながら俺はベッドに横たわった。
高梨は『ルンルンが来てくんなきゃ寂ちぃ☆』とわざと高い声をだして文句をたれる。
「キモイから切るぞ」
『あ、待っ――』
ピッ。
俺は高梨の返答などお構い無しに通話を終わらせた。
毎日毎日、飽きない奴らだな。
コンコン
携帯を放り投げたところで扉を叩く音が聞こえ、俺は上体を起こした。
親父は基本ノックもせずに入って来るデリカシーの欠片もない野郎だから、この家でそんな常識人といったら…一人しかいない。
カチャ、と遠慮がりに扉を開けて顔をだしたのやはり美咲で。
風呂から出たばかりなのか頬はほんのりと上気していて、水色のストライプが入った寝巻きを着ていた。
何だこの妙な色気は。
「今、平気ですか?」
「あぁ、どうした?」
美咲は部屋の中に入ってくると、テーブルを挟んだ俺の向かいに腰かけた。
どこか不安げな表情で、視線を泳がしている美咲。
何だか様子がおかしい。
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