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まぁこの作戦自体、提案をしたのは空なのだから妥当だろう。

十夜の意味深な笑いは不可解だが、遊二には賭けに勝つ自信があった。


なんせ、あの九音だ。


自分中心に世界が回っていると思っている俺様野郎。
プライドの高さから考えて、自分の身を差し出して助けにくるなんてするはずがない。

きっと「俺は知らん」と言って普通に学校へ行くことだろう。


(……あいつはそういう奴だ)


結果が見えている遊二は既に、空をどのように扱ってやろうかと考え始める。



「遊二、約束だからねぇ?」

「あぁ、わかってる」

「あ、それと、必ずプレゼントは遊二からってことにするんだよー?」

「逃げるような真似はしねーよ」


両者は互いに、不敵な笑みを交わしたのだった。













「なんだこれは」

「それは…」


遊二は言葉に詰まった。

誕生日プレゼント、だなんて口が避けても言えない。いや、言わなくていいのかも知れない。
約束は、これを渡すということだけ。


「いいから持ってろ」

「……?」

意味が解らず眉を寄せる九音。
だが遊二はこれ以上何も言わないとでも言うように背を向けてしまう。



「九音」


そこへ、今まで傍観していた空が二人の間に割って入ってきた。


「箱をよーく見てみろ」


空に言われ、水色の包装紙をじっと見つめる九音。


「こ、これは…」


九音は絶句した。


水色の包装紙には、小さな英字で『Happy Birthday』とプリントされていたのだ。


遊二から誕生日プレゼント?あり得ない。天と地がひっくり返ろうともあり得ない。
九音は信じられない現実に、箱を持つ手が微かに震えた。


「つまりそういうことだ。良かったな、九音」

「………頭でもイカれたのか?薬はやるなとあれほど――」

背後で交わされる会話に、遊二は不穏な空気を感じ振り向く。

そこには満足そうに頷く空と、口を手で覆い若干顔色の悪い九音がいた。


その後ろではお面の男、つまり十夜が肩を震わせ笑いを耐えているようだった。


「さぁ、九音。開けてみちゃえよ。ワクワクしちゃうだろ?」

「いや、全くしないな。寧ろ心臓に悪い。何かが飛び出してきそうな匂いがプンプンするぞ」


九音は怪しむように箱を凝視していたが「早く開けて!」と子供のように跳び跳ねるうざったい空に負け、仕方なく包み紙を開け始めた。


(そう言えば中身は何なんだ…?)


プレゼントの中身など全く興味なかった遊二は九音の手元に注目した。

背後から背伸びをして覗くように十夜も見ている。



実は、プレゼントを用意したのは空で、共犯である十夜ですら中身の内容は知らされていなかった。






箱を包んでいた紙がひらりと地面に落ちる。







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あきゅろす。
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