[携帯モード] [URL送信]
11






「鴉間、うちの連中をやった落とし前、きっちりつけさせてもらおうか」
「何のことだ」
「忘れたとは言わせねぇ」
「忘れたな。雑魚のことなんて一々覚えてられっかよ」
「んだとコラァ!」

鼻で笑った遊二に、殺気籠った眼差しを向ける赤髪。
この状況でも余裕な態度を崩さない遊二に、赤髪の神経は更に逆撫でられた。


赤髪の後ろに従える黒高生も聞き捨てならない言葉に遊二に向かって罵声を浴びせる。

「覚悟しろ鴉間ぁあ!」
「生意気な口叩けなくしてやんぜ!」

それにも全く動じない遊二に赤髪が痺れを切らし仕掛けようとした、その時。


「遊二ー、なんで手振ってくんなかったんだよー」

場にそぐわないどこか不貞腐れたような声が遊二の背後から聞こえた。

遊二が振り向くと、そこにはなぜか口を尖らし自分を睨み付ける空と、ニヤニヤと憎たらしい顔つきをした弟の十夜、そして、一年では喧嘩最強と謳われる蓮城の姿があった。



「何やってんだ、お前ら」

誰もが黒高の集団に怯え校舎に引き込もっているというのに、という意味合いで聞いた遊二だったが空から返ってきたのは

「帰んに決まってんだろ。夕食作んきゃいけねぇし。あ、ハンバーグでいいか?」

暢気に夕食の献立を聞いてくる空に、遊二は思った。

(根性が据わってんのか、ただアホなだけなのかわかんねぇ…)


もちろん、後者である。



「鴉間ぁ、誰だそいつら。まとめて潰していいってことか?」

こっちは全然構わねぇけど、とニヤリと笑う赤髪に、遊二はチッと舌打ちを溢すと、面倒臭そうに髪をかきあげ空たちに向かって小声で言った。

「テメェらは隙を見て逃げろ」

自分の蒔いた種に他人を巻き込むことはできないと思った遊二は、そう指示をだす。
しかし、この緊迫した空気を全くわかっていない空は、真顔で「鬼ゴッコでもすんのか?」と聞いてくる始末だ。
遊二はそれを綺麗に無視した。


「こいつらは関係ねぇ。テメェらがやりてぇのはこの俺だろ」
「あぁ。だがよ、テメェ一人やってもつまんねぇし、数は多い方が楽しいじゃねぇか?」

なぁ?と顔だけ振り向き黒高生に同意を求める赤髪。
もちろん反対する者などいない。

赤髪に目配せを送られた黒高生が空たち取り囲むように動きだす。

状況を把握している十夜と蓮城は、こうなることを予測していたため動揺することなく臨戦体勢をとった。
空はまだ「誰が鬼なんだ」としつこく遊二に聞いていたが、ふと赤髪に目を向けると、その風貌だけで鬼役はこいつだと断定したのだった。
そして赤髪の袖をちょい、と引っ張ると

「なぁ、ちゃんと100数えてから捕まえろよな!」

「あ?んだテメェ」

基本ルールを確認してきた空に、赤髪は鬱陶しそうに眉をしかめる。
空は瞬時に、こいつは絶対ズルをするタイプだと思った。




.

[*←][→#]

11/15ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!