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みょうちくりんなことを言いだした空に、男は苦笑いを浮かべながらコクリと頷く。


それがゴングだったかのように茶菓子に食らいつく空。
両手を駆使して右手にクッキー、左手にチョコレートとどんどん平らげてゆく。

その姿は気迫さえ漂っていた。
まるで飢えている獣のようだ。

勢いは凄まじく、皿の上に盛られていた茶菓子はあっという間に空の胃袋の中へと消えた。




「あー旨かったぁ。ごっそさん!」


いつの間にか周が出してくれていた紅茶を一気飲みし、空は満足したように「プハァー」とオヤジ染みた息を吐いてソファーにふんぞり返った。


何てふてぶてしい奴だろうか。



その様子を一部始終黙って見ていた男は微笑して、「お腹が空いてるなら何か持ってこさせようか?」と空に訪ねる。


「食い物なんかで釣られるかよ。カツ丼が食いたい」

意地をはってみたものの、つい本音が出てしまった空。


男はそれにニコリと笑って入り口に控えていた周に指示をすると、ついに本題を切り出した。



「空くん、君をここに呼んだのは他でもない。僕の息子たちの専属使用人として、ここで働いてくれないかい?」

「……どういうことだ?」

「単刀直入に言うと――僕はね、君を一億で買ったんだ」

「クソ親父に一億で売られたことは知ってる。あんた、借金取りの親玉か?」

「君のお父さんがお金を借りていた会社が僕の会社の傘下であることは事実だけど…親玉じゃなく、せめて社長と言って欲しいかな」

「じゃあ、悪徳借金取りの社長さんがなぜ俺を?」

「悪徳って…まぁいいか。実はね、街で君のことをたまたま見かけてね。是非うちの使用人として雇いたいと思ったんだよ」

「あんた、俺のストーカーか?」

「たまたま見かけたと言っただろう?ずっと尾けていたわけじゃあないよ。」




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あきゅろす。
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