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振り返ればそこには変わらず地面の上に死んだように突っ伏す男の姿。


もしこのまま男が死んでしまったら、無視して去った俺は殺人犯か?


それは困る。大いに困る!

両親も可愛い妹もそりゃあきっと泣くだろう。

俺は一生、牢獄の中で孤独に死ぬまで暮らすことに……そうなったら俺の人生は終わりだ。


こんな訳のわからん血まみれ野郎に、平凡人生台無しされてたまるかー!


俺は恐怖心を捨て、男の元まで戻ると男の腕を自分の首に掛けて持ち上げた。


……すげー重っ。

貧弱な自分がまたも恨めしく思う。

既にガクガクと笑っている膝が家までもつかどうかわからないけども、俺は力の限り男を引き摺った。






――――




家へ連れ帰った俺は両親の不在に安堵して、男を自分の部屋まで運び(これがまた一苦労だった)ベッドに横たわらせた。

そして濡れタオルと救急箱を用意して、手当てに掛かかる。


何てお人好しなんだ俺は…てか寧ろ馬鹿?



濡れタオルで顔についた血を拭ってやると、今まで気にも留めていかった男の素顔が露になった。


「ほぉー…」

さっきまでゾンビにしか見えなかったのに。

男は意外にも、端正な顔立ちをした男前だった。





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あきゅろす。
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