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女装と抱擁








久しぶりに訪れた未確認物体研究部の部室は、相変わらず埃っぽかった。


因みに、部活動は部長である伊集院の気まぐれによって行われるため不定期だ。

勿論、部員は伊集院と僕だけだから何ら支障はない。




「こないだ決めた作戦を決行するため、今日は東雲くんにこれを着てもらう!」


伊集院がどこからともなく出してきたのは、白いフリフリのワンピース。

何とロングのカツラまでオプションでついてるじゃないか!



って、


「何で僕がそんなもの!絶っっ対嫌だ!」

「何を言う!こないだのミーティングで君はこのことを了承しただろう!」




………。



うあぁ、考え事しててあまり聞いてなくて適当に相槌うっていた日だきっと。


だけども女装は男としてのプライドが…



「それ以前に、なんでそれを着ないといけないの?」

「ハァ、それもちゃんと説明したではないか。“トイレの太郎くん”は可愛い女の子の前にだけ現れるらしいのだ。霊のくせに面食いなのだよ。だから東雲くんにこれを着てもらい、太郎くんをおびきだしてもらいたいのだ」

「だったら僕じゃなくてもいいじゃないか。寧ろ僕じゃない方がいいと思う。伊集院が着れば?」

「……僕が着ても女の子には見えないだろう?」





………たしかに。


いくら美形だからって、180センチ越えた男がワンピースを着ても、ね。
想像するだけで恐ろしい感じが見える。




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