僕らの出会い
引っ込み思案で人見知りの激しい僕に、初めて声をかけてきたクラスメイトが伊集院だった。
伊集院は入学早々から目立っていたし、クラスでは早くも人気者となっていたから、そんな奴から声をかけられ僕は困惑した。
『東雲くん、僕が立ち上げる部に是非とも入部してほしいのだが』
言われた内容よりも、僕の名前を知っていたことに驚いたのを覚えている。
――2ヶ月前
「部?えっと…どんな部活なの?」
「“未確認物体研究部”。どうだい?素晴らしく興味が湧くだろう」
「いやー…」
満面の笑みでそう訊いてくる伊集院に「全く興味ない」とは言えなかった。
大体なんだよ、未確認物体研究部って。
「活動内容は名前の通り、未確認な物体を研究していくというものだ。君にとって悪い話じゃないと思うんだが」
「……」
悪い話じゃない?
部に入ることで僕に何のメリットがあるんだろうか。
なぜ僕を誘うのかよくわからないけど、聞く限り怪しげな部だし伊集院には悪いけどここはやんわり断ろう。
「えっと…他の部を見学してみてから決めてもいいかな?」
「………」
窺うように言ってみたら、途端に伊集院から笑顔が消えた。
気分を悪くさせてしまったかもしれない、と焦った僕は慌てて付け足す。
「あ、特に入りたい部活があるってわけじゃないんだけど!その…未確認物体?にも、ちょっと…興味、あるし…」
つい口からでた真っ赤な嘘。
だけど伊集院の機嫌を直すには十分だったようで、思い切り僕の肩を掴むと
「君ならそう言ってくれると信じていた!」
キラキラした目で言われた。
伊集院って…一見クールっぽいのに、見た目と違って意外と熱い人間なのかも知れない。
「東雲くん!今夜は部の設立記念と君の入部を祝して、僕の家でささやかなパーティーをしようじゃないか!」
「え、まだ僕入部するとは…」
「よし、では着いてきたまえ!」
「は、ちょっ!」
喋る暇もなく、伊集院は手早く帰り支度を済ますと、僕の手を引き歩き出した。
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