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「では、近日中に実行するとして今日はそろそろ帰ろうか」

「うん、そうだね」


七不思議について熱弁しまくった伊集院はスッキリした顔で鞄を手に立ち上がった。


やっと帰れるよ…





外はもう薄暗い。


閑散とした旧校舎には僕と伊集院の靴音と、老朽の進んだ床の不気味な音だけが響く。


これがもし夜だったら、ビビりな僕は伊集院にしがみついてガタガタ震えていたかも知れない。


大体、なんで誰も使っていない旧校舎なんかに部室を設けたのかと言うと、それは伊集院の

『雰囲気があっていいじゃないか!(霊的な)』の一言からだった。


全然良くない!という僕の意見は勿論受け入れてもらえず今に至るというわけ。





「あぁ、そうだった」



先を歩く伊集院の三歩後ろを歩いていた僕だったが、校庭の半ばまで差し掛かった時、ふと伊集院が足を止めたので僕もつられるように立ち止まった。



思い出したかのように声をあげ振り向いた伊集院は、見惚れてしまうほど、綺麗な笑顔だった。



「一つ、君に言っておかなければならないことがあったのだ」

「何?」


七不思議の続きなら勘弁してくれ。







「どうやら僕は、君が好きらしい」








「……は?」




十分な間を置いて、思わず間抜けな声がでた。



好き?
いきなりなんだそれ。
ついに血迷ったか伊集院。常々変人だとは思っていたけども。


でもでも友達から好きって言われるのって…悪い気はしない。


「僕も…伊集院のことは好きだよ。変な意味じゃなく」

「東雲くん、僕は変な意味で君のことが好きなのだよ」

「………はい?」


変な意味の好きって…やっぱりそういうことなのかな?いや、でも僕は男だし、伊集院も男で…


「じ、冗談?」

だったらかなり笑えない。


「本気だよ。出来ることならば東雲くんに触れたいし、キスもしたいし、勿論セッ――」
「うわぁああああ!!」


この人今とんでもないこと言おうとした!





「返事はいつでもいい。ではまた明日」


伊集院は顔を沸騰させる僕を残して、やたら清々しい顔で颯爽と帰って行く。






「……嘘だろぉ」




人気のない校庭のど真ん中で、僕は暫く頭を抱えて蹲っていた。





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