7 正しい言葉が見つからない。 きっと、今は何を言っても言い訳にしかならないような気がする。 だから僕は心の中で“ごめん”を繰り返した。 「…君に、触れてもいいかい?」 ふと発せられた言葉。 それと同時に近付いてきた伊集院の手が、僕の頬に添えられた。 なぜこんなにも、伊集院に触れられる場所が熱いんだろう…。 わからない。 わからないよ伊集院。 頭の中は混乱してるのに、体は熱に浮かされたようにほんのりと火照り、体から力が抜けていく。 身を乗りだし近付いてくる伊集院の顔が、とてもゆっくりに見えた。 視界いっぱいに彼の顔が広がる。 唇に走った柔らかな感触は、一瞬だった。 今、何… 「僕はどうやら自制心が足りないようだ」 伊集院は顔を離すと、苦笑いを浮かべそう言った。 僕の中で甘く疼くこの気持ちの正体を、伊集院なら知っているのかな。 . [*←][→#] [戻る] |