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「だ、だが…」
「父さんは単身赴任中だし、母さんは仕事で帰り遅いだろうし、今日はたぶん会うことないと思うよ。」
「母君が不在なら…では誰がディナーを?コックかい?」
「うちにコックなんていないよ。作るのは僕。まぁ、伊集院んちみたいに凄いのは作れないけどさ…」
「なんとっ!」
伊集院は驚愕したように目を見開くと、僕の両肩を掴み興奮したように声を荒げた。
「それは俗に言う…手料理、ってやつになるね!?」
ん?なぜ顔が赤いんだろ…。
「そう、なるね」
「なんとっ!あ〜今日は何だかいい日になるような気がしていたのだ!これもきっと日頃の行いが良いお陰だろう。うん、うん。そうと決まれば早速行こうではないかっ!」
意気揚々と鞄を掴み歩き出した伊集院のあとを、僕は慌てて追いかけた。
「ちょっと待ってよ伊集院!僕んち知らないくせに先に行ってどうすんのさ〜」
手紙のことは、すっかり忘れていた。
「狭いけど、どうぞ上がって」
「お邪魔します」
伊集院を僕の部屋へ通し、「適当に座ってて」と言って僕はお茶の用意をしにリビングにおりた。
その際、冷蔵庫を明け食材を確認し献立を考える。
んー、野菜が結構あるから炒めものと、あとは付け合わせに二三品くらいならすぐにできそうだ。
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