独走告白
――旧校舎二階の最奥
日もまともに入らないそこは、俗に言う『ナニかでてきそうな感じ(霊的な)』がプンプンする場所。
そんな場所に存在する、一つの教室。
ボロボロな壁には汚い字で書かれた、
“未確認物体研究部”の文字。
来たくて来たんじゃない。
けれどなぜか僕は今、その怪しげな部室に居たりする。
◇
「今回のテーマはズバリッ!学園七不思議の一つである“トイレの太郎くん”が本当にいるのか、という検証だ!」
そう真顔で言い切る目の前の人物は、この奇妙な部の部長である伊集院奏(イジュウインカナデ)。
ちなみに、副部長である僕の名前は東雲七緒(シノノメナナオ)。
悲しいことに、この怪しげな部の部員は僕と伊集院の二人だけである。
まぁ、こんな怪しげな部に入りたいなんて思う奇特な生徒はいないだろうから当たり前だ。
僕だって出来ればもっとかっこいい部に入りたかった。
例えば、野球部とかバスケ部とか…運動神経には自信ないけども。こんな部よりは遥かにましだと思う。
今さらだけど。
なぜか偉く伊集院に気に入られてしまった僕は、彼の強引さに負け部に入らざるおえなかったのだった。
「――とゆーわけなのだが、東雲くん何か君から意見はあるかね?」
「え、あー……」
ヤバい、全然聞いてなかった。
つい現実逃避を…
「何もないのなら僕の考えた作戦で異論はないね?」
「あ、うん…いいんじゃないかな」
適当に返した僕の言葉に、伊集院は微笑し満足そうに頷く。
一体何の話だったんだろう…
伊集院はちょっと、いやかなり変わった奴だと思うがはっきり言って美形だし背も高い。
まだ入学して間もないというのに、既にファンクラブがあるとかないとかなんて噂まである。
羨ましい限りだ。
そんな彼とは対称的に、背も低めで全体を通して平凡な僕。
女子たちの間で現代の王子様だなんて持て囃されている伊集院が、なぜ僕なんかにこうも固執するのか、それこそ学園七不思議に加えたらいいと思う。
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