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はじまりのおはなし(続3
それまで岩陰で機会を窺っていたイザナギは、
剣に導かれるように立ちあがった
そして傷だらけの両腕に最後の力を込めると、
オロチにむかって猛然と飛び掛かって行ったのじゃ
イザナギの手の中で踊るように翻る金色の剣
その眩い光が煌くたびにオロチの首は次々と宙を舞い
ついにこの怪物は自らの血だまりの上に崩れ落ちた
長年村人を苦しめた元凶が最後を迎えた瞬間じゃった


戦いが終わった頃には、辺りはすっかり白んでおった
白野威はオロチの毒が全身に回り息も絶え絶えじゃったが、
イザナギはそんな白野威を抱きかかえ、
村人の待つ村へと帰って行った
村に着く頃には白野威は、自分で動く事も出来なんだ
村人たちが見守る中、村の長老が優しく頭をなでてやると、
白野威はそれに応えるように小さくワンと鳴き………
そして……眠るように事切れたのじゃ


…こうして神木村にやっと平穏な日々が訪れた
村人たちは白野威の立派な働きを忘れぬよう、
村の静かな場所に社を建て、そこに白野威の像をまつった
そして、イザナギの振るった剣を「月呼」と名付け、
十六夜のほこらに供えて、いつまでも平和を祈り続けたという
永遠に変わらぬ平和な日々を……


ところが、物語はここで終わらんかった
実はこのお話には、誰も知らん続きがある
白野威とイザナギの活躍から、
百年が経とうとする神木村から、
その続きは始まるのじゃ…

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