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同盟-6完[猫・ウサギ's・芋虫・トカゲ]


「……」

「アリス? どうし」




――むんず




「ぎにゃーーーーっ!!!」




突然の悲鳴に、ウサギ二匹はぱっと振り返りアリスを見た。
……見てしまった。




「ア、アリス……?」

「どっ……どうしました? アリス……」




二匹は揃って顔を引きつらせた。耳が警戒の形に立ち上がっている。

それもそうだろう。

アリスはいっそ清々しい程の笑顔で、チェシャ猫の尻尾を引っ張っていた。
まるでどこかの騎士のような笑み方だ。
しかもそのままずんずんウサギたちに近付いていく。




「アリスっ……! 尻尾はっ……尻尾だけはっ!」




引きずられるチェシャ猫はというと、既に涙目を通り越して本気で泣いていた。尻尾は弱点なのだ。
それを無視して、アリスは振り返った体勢のまま固まった三月ウサギに詰め寄った。




「ちょ、アリ…ギャーーーーッ!!!」




こちらもかなりの悲鳴が響く。
勿論、耳を力いっぱい引っ張られた為だ。


――アリスは今、大の男を片手で一人ずつ制した。




「あ、あの……アリス?」

「……何かしら、ペーター」




やっと声を発したアリスは、やはり笑顔のまま。
天下の宰相閣下の背筋がぞわっと粟立った。




その後の展開は……
少々、ハードな説教タイムだったとでも言っておこう……






 ―――――――






「――って訳でね、凄く可愛かったのよ!」




一息に話し終えてグレイの顔を伺うと、頬を染めて口元を手で覆っている。
どうやらかなりお気に召したらしい。




(ちょっと創作が入ったけど、喜んでるし良いわよね)




話に夢中でせっかく淹れた紅茶も冷めてしまったが、からからの喉にはぬるいくらいが丁度良い。




(そういえば、ナイトメアは仕事をしているかしら)




執務机はこちらからだとグレイの陰になって見えない。
ひょい、と顔だけ動かして見ると、ナイトメアは机に突っ伏しているように見えた。
思わず苦い顔になる。



(もう、またサボって……)




悦に入って出てこないグレイをそのままに、机に近付いた。
もうすぐグレイの打ち合わせの時間だから、私がしっかりナイトメアを見ていなくちゃ!
もし逃げられたりしたら、捕まえる自信がないし。




「ナイトメア、仕事進んで…ってちょっとナイトメア!?」

「!! ナイトメア様!?」




私の悲鳴にも似た声に反応して、グレイが飛んできた。
なんとナイトメアは……




「げふごふぉっ」

「ナイトメア様っ!」




吐血していた。




「だ、大丈夫? ナイトメア……」

「誰の所為だと……ぐふっ」

「え?」




ナイトメアに非難の眼差しを向けられたが、私は何かしてしまったろうか。
そうこうする内にグレイが呼んだ担架がやってきた。かなり手際が良い。


……慣れさせられたのだろうけど。




「小動物同盟を組むのは構わんが、次からは私の居ないところでやってくれ……うぐ」




寝室に運ばれるのだろうナイトメアが言った言葉は、いったい何の話だったんだろうか……







  終わり




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